ティナのお師匠
「なんじゃ。今日はこっち使わんのか」
中庭にティナが顔をだす。
「おいティナ、それ」
俺は驚きを隠せない。
ティナがレンのハルバートを担いでる。
担ぐだけなら俺にも出来る。だがティナの背丈の頃には無理だ。
しかも、ティナはそれを振り下ろした。
下は石畳だが、ハルバートとより、バトルアックスに近いそれは地面を切り裂くだろう。
いや、地面よりティナが危ない。
反射的に立ち上がるが、ハルバートはピタリっと止まる。
「流石に長い分重く感じるの」
唖然とみる俺にティナが気が付く。
「恐れ入ったか!これでも鬼の子じゃ」
困った……
やはり最弱はおれみたいだ。
モナが汗だくになって戻ってくる。
「流石に疲れた」
「お疲れ様」
ルナが置いていってくれたポットからお茶を注いでやる。
「ありがとう。ティナも来たんだね」
「モナはすごいな。飛んではねて攻撃して」
「あはは、私はそんなに力無いからね。手数増やしてるだけだよ」
ロングソードをあれだけ振り回して、力がないとは言わない。
だが、カッツェとかマグナス見てるとそう思えてしまう不思議。
「モナ、あの時ありがとう。ちゃんとお礼言えてなかった」
モナはその言葉の意味がわからなかったのかきょとんとしてる。
「闘技場で、私たちを助けてくれたろ」
「ああ、そうだったかな。でも気にしなくていいというか。間に合ってよかったよ」
モナがティナに微笑みかけると、ティナがモナの手を握る。
「どうすればそんなに強くなれる」
「んーセト、どうしたものかな」
モナが困って俺にふってくる。
「アヤネに教わるのがいいんじゃないのか?」
「小さいものの戦い方をアヤネは知らん」
なるほど、とは言え困ったな。
モナは獣人特有でもあるし、真似しろと言って真似できるものか……
「真面目にやるなら、モナに剣を教えた人に話をしてみてもいいぞ」
「おお、モナに剣を教えた人ならそれはそれは強い」
「ルナだ」
「……」
おっ ティナが固まってるな。だんだん汗までかいてきてる。
「そのなんだ、他の人は?」
ティナが目を泳がせならが聞いてくる。
よほど普段ルナを怒らせてるな、わかるぞ。ルナは怖いからな。
強いとかじゃない。
怒らせたくない。
「そうだね。ルナに基本を教えてもらったから、私の技はあるかな」
モナの言葉に嘘はない。
「それかモウラに習うか?」
俺の言葉にティナの目が輝くが……
「モウラさんは、今フィーナに教わってますから、ティナもフィーナに教わりますか」
いつの間にかルナが戻ってきてた。
「いや、フィーナはその……」
ティナが挙動不審になってる。
「私では物足りないかもしれませんが、基礎だけなら教えますから」
お茶のおかわりを置いて、ルナはティナの手を引いて行く。
「あれじゃぞ、ツノはダメだぞ。約束じゃぞ」
ティナが何か懇願しながら去っていった。
フィーナかルナかで、ルナを選んだようだな。
執務室で一緒だしちょうどいいだろう。
礼儀作法も仕込まれて……いるはずだ。
さて、レン達も終わったようだし、出かけるか。




