教会と聖人
執務室に集まる俺の嫁と嫁候補。
ティナは落ちつかない様子で歩き回っては、モウラ追われていた。
最終的にはルナの視線で大人しくなり。今はモウラの隣に座っている。
アッシュは壁に背をつけ全体を見ている。俺を見て少し微笑む。
前の全体への告白はそれほど、尾を引いていない。皆がいつも通りすぎて拍子抜けしたようだ。
レンとモナは剣の振り方を何やら話してる。バトルマニア。
ルナはみんなのお茶を用意し、リザもそれを手伝っている。
ヴェルは、俺の腕を掴んで離さない。今朝、拉致された話をして以降、常に俺を掴んでいる。
そうして、みんなが集まっている中、執務室の扉が開く。
フィーナ、イーゼル、セラだ。
先に話があったのか三人は神妙な顔で席につく
「お待たせ。ごめんね、呼んでおいて遅くなりましたっと」
セラは朝のような状態ではない。いつもの軽口。
イーゼルはニコニコしてるな。
そして、筋肉嫁のフィーナは真剣。いや少し疲れてるか。
「最初に、私達はセトハーレムとしてセト君を中心に集まってる。これから、何を知ってもそれは多分変わらないってこと」
何の宣言だ。俺を掴むヴェルの腕に力が入る。
「さて、昨日深夜未明、セト君誘拐される」
セラが淡々と時系列を説明する。みんなざっとは聞いてたのでおさらいではあるが、ティナだけは少し興奮している。
「セトばっかり空飛んでる」
いや、ナツメの跳躍入れても二回だ。
「どんな感じだった?」
「股がヒュンと冷えた。玉ヒュンとも言う」
おとこにしか分からない。つまりこの部屋では俺にしか分からないのだ。
セラの咳払いで、俺とティナは黙る。
「ノアの王国史なんかは、各々で調べてもらうとして」
セラはイーゼルを見る。
「ノアの教会の話ですね。教会は、戒めと救い、そして過去を保管するために存在してます」
前半二つは何となくわかる。最後のはなんだ。
イーゼルは続ける。
「過去の保管。美術品なども含まれるんですが、それとは別に」
イーゼルが俺を見る。
「聖人って何だと思います?」
「フィーナとか、聖騎士扱いされたり、ランスみたいな教皇か?」
「違います」
イーゼルが、即ダメ出し。フィーナは、相変わらず姿勢を正してるな。
「フィーナも民衆から聖人と呼ばれたりはしますが、記録に残る聖人は全て死んでいます。つまり死んで聖人になります」
イーゼルの目がレンを見る。
レンはまっすぐにイーゼルを見ている。
「そして、死んでから生き返ったものも聖人と呼ばれる」
モナがレンの手を握る。レンは優しくモナを見ている。
ルナもリザの手を握り、イーゼルの次の言葉を待っている。
「そう、リザさんもその定義なら聖人です」
少しだけ、部屋が冷えたように感じる。
「それでね、リザやレンを作る。この言葉があってるかどうかは別として、二人を作った。それに」
セラの目がアッシュとヴェルを順番に見る。
ヴェルが俺を抱き寄せるように手を添えてくる。離れない、それを示すかのように。
レンがそれを見て寄ってくる。
モナもそれに倣うように寄ってくる。
一気に俺の周りだけ温度が上がる。
その様子にセラが少し笑う。
「蓮華会は過去の保存と、人として人を超えることを目指した組織」
蓮華の影がちらつくのはわかっていた。ガイナス、人狼、アネモネ。いやこいつら人やめてたが、それ以前に…
「いや、今は教会の話だったんじゃ」
俺の言葉にフィーナが少しだけ悲しそうな目を向け。
イーゼルは毅然と言い放つ
「そう、蓮華は教会から生まれました」




