仕事と監視と
フェルから文句が出たので、魔王城で人工スキンの試作を繰り返す。
魔王城の用具置き場。普段はモナが鎧脱いだりしている場所。
俺とフェル、ナツメ、ポルコ。そしてオリベも様子を見に来てくれる。
そこに、イーゼルが加わってくれたので、より進むかのように思えたのだが、一向にうまくいかない。
「お互い知らない技術同士をまとめようとしてるのが問題か」
俺は腕組みをして天井を眺める。
「あんた、そういうの得意じゃない」
フェルが言う。
確かに、変な組み合わせというか、抜け道を探すのは好きだ。
「全く知らないと、それも難しい」
「なら、お勉強しますか?」
イーゼルが嬉しそうに本を開く。
「難しそうだからな」
「いえ、この誰でも分かるダリア式は絵が多くておすすめです」
「誰でも分かるあたりから、胡散臭い」
「寝る前にちょっと見るだけでも」
「読んでるとすぐ寝れそう」
拒む俺に本を強引に渡すイーゼル。
そうだな、俺が全体を分れば、また違うのだろう。
「それともフィーナに説法させますか?」
「本読みます」
あいつの説法は、ただの訓練だ。
今は、モウラがそれを受けてる。
うちなる力を呼び覚ませとか、そっちも胡散臭い。
「素材としては申し分ないんだけどな。肌触りもすごくいい」
「そこ重要なんですね」
「重要。あとおっぱ…」
言いかけて止まる。
イーゼルの笑顔が眩しい。
なんだろ、この汚しちゃいけない感じ。
「私と扱いが違う」
フェルの睨まれた。
◇◇◆
「レンの肌も重要ですが、仕事もしてくださいね」
執務室でルナに言われる。
当然である。
なんせ、最近は北のことばかり気にかけて、さらにはレンの人工スキン問題に力を入れていた。
ルナとリザが処理してくれた書類に目を通さないといけない。
セラに任せれば終わるのだが、セラはモウラと外交で忙しい。
それなのに、最近モウラは鍛えてばかり。
そして、モウラの代わりに小さいメイドが執務室にいる。
ティナである。
「そうだぞ、セト。働け」
「偉そうに。お前は言われたことを覚えろ」
「大丈夫だ」
「何が」
「モウラが笑っておけば大人がお菓子くれるて言ってた」
あいつは碌なことを教えない。
「それで許されるなら、ルナ先生は怒らないな」
その言葉にティナが、素早くルナを盗み見る。
「大丈夫、今日はまだ怒られてない」
まだ…なのが悲しい。
最近ティナはルナの元で仕事を習っている。
しかも住み込み。
本人曰く「花嫁修行」らしいが、暇にしておくと暴れるからルナがそばに置いてるだけだ。
ティナの身分は一応…
一応、俺の婚約者ということになる。
モウラやリザ、イーゼルと同じ立場?
今も、菓子頬張りすぎて、飲み込めないこいつが?
そっとルナがお茶を渡して、ことなきを得たようだ。
「なので、暇だから、遊べ」
「お前、俺は今まさに仕事をするの」
「そうですティナ。だからあなたの仕事は見張りです」
俺が外に行かないように見張りらしい。
ティナが勝ち誇った顔で俺を見ているのが、腹が立つ。




