フェルと新技術
仕切り直してクバネに行こうとしていただが、予定が変わった。
フェル達が戻ってきたからだ。
魔王城中庭でフェルと、オリベから報告を受けることになった。
「少し焼けたか」
「思ってたより暑かった」
久しぶりに会ったフェルは元気そうで何よりだ。褐色とまでは言わないが焼けていた。
だが同行していたオリベは変わらない。
「そっちはどうだった」
「特にツツがなく。帝国の同盟国にしてきました」
ん?お詫びに行ったわけじゃないのか?
「使者叩き斬って、貰ったツボを作り直して返してますからね」
「そういえば失礼というか、まず斬ってるからな」
「斬るでkillしましたね」
ごめんわからない。人斬りジョーク?
「元々、交渉で無礼を働いたというか、向こうが見定めてきたのですよ」
「帝国を?ノブを?」
「両方ですね。そして対応を見ていた」
オリベの目は冷静で冷たい。
外交は、俺が思うより怖い駆け引きなんだろう。
モウラを見てるとそうは思えないが、セラは暗躍と言っていいくらいの仕事をしてるし。
「セトさんには迷惑にならない程度になってますから、ご安心ください」
俺を見て笑うオリベはいつもの職人顔だ。この人、たまに怖いよね。
「セトさんが好みのそうなものと奥方への土産です」
オリベから箱を渡される。
アレクの時も思ったが、この辺りの気遣いが俺に全くないところだな。
「ありがとう、みんなも喜ぶよ」
「いえ、では私はこれで」
オリベが席を離れるとフェルと二人になる。
「それで、フェルの方は?怖い話の後で、技術なんか学べたのか?」
「それがね、南の人はおおらかだったよ。たくさん教えてもらえた」
フェルなら見て覚えるもできるから送り出した。だが杞憂で終わったな。こっちはこっちで拍子抜けだ。
教えてもらえない場合も覚悟していた。
「色々教わったから、試したいんだけど」
フェルが珍しくしおらしいな。
俺とは長い付き合いなのに水臭い。
「施設か?」
「そう、さすがセト」
どうやら、加熱する炉と大量の水が必要らしい。
久々に井戸堀か。
「さて、私はモナに会ってくるよ。変わったんでしょ?」
「ああ驚くよ」
フェルは楽しそうにモナを探しに行った。
◇◇◆
職人達の慰労会。
そういった名目で、この度、ヨウの離れでお集まりいただいた。
だが職人街の人間とは別に、レンとナツメがいる。
「私は来なくて良かったんじゃ」
フェルが、花街の雰囲気に圧倒されていた。
実際ここへくるのを渋られた。
「フェルの持ち帰った技術も必要なんだ」
「またやるの?」
「やる」
俺の決意は硬い。
「技術がまだ足りなかったか…」
革職人ポルコは嘆いている。
「お前の技術は最高だった。だが、俺は知ってしまったんだ。夢の中で、最高のおっぱいを」
「夢の中って」
俺の言葉にフェルがドン引きしている。
そらそうだ。
でも、止まれない。
「さらに先に、俺は進みたい」
ちなみに大半の職人は酒を飲み交わし、ちゃんと聞いてるのは数名。
それでいい。慰労会だからな。




