戦うお姫様!モウラ・リーベア
幼い頃から強さで、姉であるカッツェに勝てたことはない。
まだ戦が続く当時の帝国では、剣の腕、戦いの技術は重要視されていた。
姉のおかげで、勇者を名乗っている。
そんな言葉が聞こえた。
姉はそのものを殴った。
私は、舞など姉が興味を持たないものに価値を求めた。
これ以上姉に負けたくない。逃げたのだ。
逃げた先で、私の才能は開いた。
一つ覚えると、戦いの技術も上がった。
私はやれば出来る子なのだ。
だが、姉には勝てなかった。
別の戦いを求めた。
魅せる戦い。
それは、とても楽しかった。
私が戦いの場に立つと歓声が上がった。
姉には勝てなかった。
でも、逃げない。
何度でも戦う。
そして、
今度ばかりは逃げられない。
守れなかった上に、敵とすら認められていない。
勝てない相手には慣れている。
だが、アイツは私を見ていない。
レンの技術
モナの速さ
フィーナの力
どれも敵わない。
カッツェのようにもなれない。
フィーナは見ろと言ったが
黙ってろ!筋肉ゴリラ!
あんたは認めるが、真似できるか!
私は私の戦い方を探す。
逃げじゃない。
別の道 別の技で勝つ。
魅せるために、見る。
観客も。対戦相手も。戦場全体も。
それが私の戦い方だ。
カッツェにはなれない。フィーナにもなれない。
だから私は、私で勝つ。
ばかなフリして場を整えるのも私の得意分野だ。
まぁ、魔王城では気を抜きすぎてますが……
勝てないことに慣れてるが、負けに慣れてるわけじゃない。
いつだって悔しいのだ。
リザにもティナにも見せられない。
諦める私を見せられらない。
セトハーレム。お姫様組筆頭!
「私はモウラ!モウラ・リーベア」
◇◇◆
「キレましたね」
フィーナが意味深に言う。
モウラが名乗りをあげて、動きが良くなったのはわかる。
何か吹っ切れたのかな。
カッツェの妹とかだからではない、モウラはもともと強い。
「前にモウラと殴り合ってたろ、あの時も強かったのか」
「あれは余興ですから」
「殴り合いを余興って…」
殴り合いを祈りと言われるよりマシか。
いや、やはりおかしい。
「で、強かったのか?」
「ぶつかり合いなら負けませんよ」
答えになってない。あの時引き分けてたろ。
「あの子は、全体を見て動ける子ですが、それが空回りしてただけです」
ようやくまともな答えが返ってくる。
「強すぎる姉がいたからもあるでしょうし、帝国があの子に外面を求めたのでしょう」
うん、だんだん分からなくなってきた。
「わかりやすく頼む」
「好きにやればあの子は強いです」
モウラの槍がトロールを削り、槍を使って跳躍をする。
以前レンが見せた跳躍に似てるな。
飛んで残った片腕も切り飛ばす。
「筋肉量もカッツェに劣るわけではないし、人の技も器用に使います。それに軍を率いれば聖撃の軍を打ち破りますし」
「聖撃は突進だけしかしないだろ」
「人狼もですよ」
「そうかだっけか」
モナの時はもっと動いていた、いや今日は足を止めて撃ち合っていたか。
「さて終わりますね」
モウラがトロールの四肢を切り飛ばし終える。
レンとモナも全て倒し切ったようだ。
「癒しの左!捌きの右!」
フィーナの拳が光り、四肢を失っても動くトロールにトドメを刺して回ってる。
うむ、聖職者とは思えない。
だが、光の拳で殴られたトロールは、動かない。
「最初っからやれ」
「この数を捌き切るのは私も無理ですよ」
笑いながらも叩き潰していく。
そしてモウラの元へ行く。
「モウラもやってみてください」
「無理!」
そもそも、あの光の拳はどういう理屈なんだろう。
癒しと言いながら、回復しないし。
肉体強化と浄化なのか?
前に聞いたら「祈りです」で済まされた。
深く考えないことにする。
ともあれ、終わった。
「どうしますか?」
フィーナが聞いてくる。
進むか、戻るかだろう。
決まってる。
「ナツメも動けないし、一旦戻ってヨウに報告」
フィーナがナツメを背負い。俺たちは帰路につく。
ヨウに報告しようとすると、臭いから風呂入れっと怒られた。
離れに風呂を用意してくれたようだ。ありがたくいただいた。




