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最強スケルトンに恋をした ~嫁達が強すぎて魔王認定されました~  作者: Hike技研
魔王城完成 そして

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酒と月

軍副司令 飾りだ名義貸しだというアレク・ジウロノア


だが、軍を取り仕切る総司令は別にいるものの、重要な役職の多くにジウロノアの人間がついている。

その党首であるアレクが飾りなわけがないのだ。

現に私兵だけで百人越え。


その多くが精鋭で、今回も街の外に待機している。


そして、副官としてミリアがいる。






「だからさ、誰も信用ならないの」


俺はアレクと内緒で北区に飲みにきた。


例の木札も一応持っている。一応だ。


そして、アレクに愚痴を聞かされているところだ。





ヨウの宿の離れなので、敵国の要人と飲むにはこれ以上のところはない。

職人街では、目立ちすぎるからな。


帝国でも見た、タタミの部屋で。酔っ払いが延々愚痴を言っている。


政略結婚の苦労話が終わって、軍の話に差し掛かる。



時折、獣人の女性給仕が、酒のおかわりを置いていく。見られているわけでもないのに、的確にくる。


毎回違う子が来るのは、コンノの差金だな。



「いい子をつけますよ」コンノは張り切っていたが、断った。

今日はそんな日じゃない。

アレクと二人で話せる機会などそうそう無いのだ。


「では別の日に」


コンノは別の意味で受け取ったな。

そうだな、料理運んで来た。素朴な町娘……なんでもない。


「嫁さん、派手ですものね」


察するな。




「おい、聞いてるかセト」


意外にもアレクは酷く酔っている。


「だからな、ジウロが大勢いるってことは、俺を党首から……」

アレクは酒を煽り、料理を口にする。


「なんだこれ、うまいな」


話が飛ぶ飛ぶ。


「大丈夫か、お前、あまり無理するなよ」


「バカ言うな、こんな風に飲める機会なんて、党首になって一度も」


給仕が静かに酒を置く。


「あぁあ すいませんね。お嬢さん。ありがとう。ありがとう」

アレクはさりげなく、手を握り。何かを渡す。チップか?


しまった。その考えはなかったわ。


酔ってても大人だな。アレク。



「なんだっけ」


いや酔っ払いだ。





アレクはしきりに、東の名物である干した海産物を食ってる。


気に入ったか。


スルメというらしい、日持ちがするんで。大量に買い付けする予定だ。


今回は煮物として色々混ざってるが、後で土産に持たせてやろう。



「ミリアはどうするんだって話だ」

どうせ酔ってるんだ、ミリアの話でも聞いておこう。




「あの子はなぁ。ほんと獣で苦労した」


「初めは、獣姿だったのか?」


「そうだ、演習中に見つけたんだ。ほらあれなんだボーアフィルム」

「モーナフェルム」


「なんだか知らないけど伝説なんだろ。一時、教会も騒いでた」


「モナが発見された頃だな」


「そうそう、それと同じ時期だな。怪我した獣を保護したんだが……いや暴れる暴れる」


アレクは小鉢をじっと見る。なんだ食い終わったか。

俺のをやるよ。


アレクはニヤリと笑う。


本当に副司令か?


「それでな、まぁしばらく傷の様子を見て、私兵じゃ無理だから俺が面倒を見た」


そういや、アレクがどのくらい強いか知らないが、あの時のモナを抑えることを考えると、アレクもただものじゃない。


「意外に強いんだな」


「ああ、マグナスと殴り合うくらいにはな」

「それは魔人じゃないのか?」


「若い頃の話だ、まだあれが鼻垂れの頃な」


アレクはまた小鉢を見る。

また空にしたか、相当好きだな。



アレクが扉を見ると。給仕がまた入ってくる。


「お姉さん。これ美味かったから、もう一つもらえる?」


「ありがとうございます。では、こちら先ほどの小鉢と、よろしければこちらもどうぞ」


給仕は、あらかじめ用意していた小鉢と、炙ったスルメを出してくる。

たまにヨウが炙って食ってるので、俺も食ったことがあるが、うまい。


アゴが疲れるのが難点だけどな。


俺とアレクは、部屋の縁台に腰を下ろし、話を続ける。

いよいよ軍副司令と魔王には見えない。


ただの酔っ払い二人だ。


花街の喧騒が、少しだけ聞こえる。



「お前は、いい街を作ったな」


ミリアの話が飛んでしまったな。

またの機会にするか。



「俺じゃない。まわりが凄い」


「謙遜はいらない。上に立つもの次第で組織は別物になる」


「基本任せきりだ」


「だが職人街の作りは見事だったし、裏ではこんな歓楽街まで用意している」




「望むものは王になれず、お前は望まず王になったな…」


スルメを齧り。酒を煽る。


「道具屋でよかったんだけどな」


俺の言葉に、アレクは驚き、笑う。


「だが、手放す気は無いんだろ?」


「みんなをか?当然だ」


その言葉に、アレクは答えない。


代わりに立ち上がり庭を見る。



「さて時間だ、セト。楽しい時間だった」


「ん。ここに泊まっていくんじゃないのか。その状態じゃ帰れないだろ」



「迎えが来た」


縁台から見える人影。



幽玄の庭で月は照らす。

ナイトドレス姿の獣人。虎耳。


モナではない。


黄色いしっぽのミリアだった。


少しだけ、歩きづらそうに、ミリアはアレクにより手をとる。



「じゃぁな」


アレクは去っていった。

ミリアの肩に、少し体を預けながら。


コンノ達も二人を邪魔しないよう扉を開け。頭を下げる。


誰も信用ならない、だからミリアが副官なのだろう。

だが、それだけでは無い気がする。




もう少しミリアについても、他のことも聞きたかったが、うまいことかわされたきもする。


そもそも、酔ってたのかも謎だ。



さて、俺の方は本気で酔っ払っているから帰るのは無理だ。



縁台に戻ると。白と黒の髪の美人が座っている。




美人はちょっと怒って、ちょっと微笑む。


俺の自慢の嫁さんに似てるね。

ああ、そう。本人。


月明かりが、金色の目をより輝かせている。




コンノが気を回したのか、奥の座敷に寝床が用意されていた。



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