布とモラルと金属娘
街では急ぎで建設が行われる。
空からの襲撃に備えて、物見櫓を増やし、一部は橋をかけて繋ぎ合わせる。
まぁ見えた時には遅いんだろうけどな。
それでも、伝達は早くなる。頑丈に作ることで、大勢のれる様にしておく。
弓兵を置くことも考慮に入れているからだ。
あの後ヴェルから聞くには、赤髪少女は戦うほどの戦闘力はないらしい。
飛ぶことに特化し作られた人外。
少女単体なら弓で対抗できるかもしれない。
とはいえ、捕まって落とされたら俺は死ぬけどな。
人狼クラスが、二人くるわけではないだけ良いのか。
物見櫓作りには、モウラ率いるスターダストの人手が多い。
働き手を出す交換条件で、練習場の資材を輸入しなくてはいけなくなった。
リングという限られた場所で戦うための資材が欲しいとモウラに言われたのだ。
帝国ではが主流な舞台装置だとモウラが力説してくれた。
「戦う芸術をお見せしますよ」
そう言われると弱い。実際過去二回の帝国プロレスは、大いに盛り上がった。
ちなみに、聖撃だけで、ガチンコステゴロクラブなる催しをやったら、玄人すぎてこけた。
だが立って戦えのそれは、聖撃の入信者を増やしているらしい。
「肉体の限界を祈りと共に」
ファン同士でも、どっちが最強かで揉めてるらしい。
ただフィーナが両方に参加しているので、結果フィーナが強いで終わるらしい。
空の脅威もあるが、娯楽は必要だ。
そしてもう一つの娯楽。北区の歓楽街も完成した。
心なしか旅人や商人の出入りも増えた。
警戒は怠れないが、街としては活気があっていい。
俺はモナとレンとで街並みを歩く。
この三人で出歩くのも久しぶりな気がする。
「なんか、落ち着かない」
モナがモジモジとしている。
それはそうだ、モナの服装はビキニアーマー……というか布。
鎧というよりは、水着に近い。
マントでお尻は隠れてるけど、風が吹くと
職人たちの目線が吸い込まれるのがわかる。
そして子供達は、以前と違うモナに少し驚いている。
「モナが選んだ服なんだろ?」
【戦いやすそう】
俺たちの意見に沈黙するモナ。しきりにお尻を気にしてるな。
「そうなんだけど、実際着てみたら、恥ずかしくて」
まぁ、職人にモナの尻を見られ続けるのも面白くないのは事実だ。
スターダストで戦ってる時は気にならないのにな。
そんなこんなで、仕立て直しに行くわけだが。
そんな俺たちの横を、黒髪の三つ編み姿の女性が小走りに近づく。
こちらも水着に近い格好だ。
「セトさん、お二人もおはようございます」
機械公国のナツメである。
鋼鉄の体で少女の顔だち、機械人、いや機人と呼ばれるらしい。
「なんというか大胆な格好だな」
俺の言葉にナツメは、モナを見て。
「モラル的には問題ないと認識してます」
機械とはいえ女性型だ、どうなんだろう。
以前はルナに服を着せてもらっていたはずだ。
「露出面積は、モナさんより少ないです」
「比較しないで……」
マントで体を包む。うん、見えてた時より、なんというかエロい。
「まぁ、ビキニアーマーも街歩いてたからな。最近は見かけないけど」
「儀式か、外での演習の時はまだ着てるようです」
「なるほどな、ところで、その格好……」
あの時は、肘から先とスカートから見える足だけしか見えてなかったから、気が付かなかった。
今のナツメは、関節は機械だが、太腿は、肌を継ぎ合わせたようなライン。
肩や腕にもラインがあり隙間が見える。それなのに胸元はしっかりと女性の胸だ。
そして以前も見た鋼鉄の手足。
金属と骨の違いはあるが、人工的スキンで覆ったレンに似ている。
それが下着に近い格好では何というか眼福、いや目に毒だ。
「視線の硬直時間から察します……」
「察するな!」
さて、どうしたものか。
「違うんだ。以前ルナが渡した服はどうした」
「洗濯したら破けました」
ナツメは少しバツが悪そうに言う。
「マントは残ってるので、使用するのですが、気温が高くオーバーヒートの可能性がありました」
オーバー何?何か不都合があるのか。
「よくわからんが、服がないんだな」
「そうなります」
ふむ。
「じゃあ少し付き合ってくれ、モナの服も少し直してもらうところだ」
「直すのですか?とても快適そうです」
話が進まないので、手を引いて仕立て屋に向かうことにした。
掴んだ手は、金属工具の温度に近いが、指先は繊細そのものだ。
ついじっくり観察してしまう。
「セト様?」
「いやすまない、行こうか」
俺が歩き出すと、ナツメも素直に歩き出した。
【セトは機械でもいける?】
「あり、なんじゃないかな。セトだもの」
なんか後ろでレンとモナがはしゃいでるな。
俺に手を引かれる少女は脇腹から蒸気が出てる。
日差しが頭上にのぼる。
もう昼か……暑いわけだ。
なるほどオーバーなんとかって熱のことか。
なんとなく一人納得していた。




