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最強スケルトンに恋をした ~嫁達が強すぎて魔王認定されました~  作者: Hike技研
魔王城完成 そして

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灰と福音

小さい頃の記憶がない。大勢の大人に囲まれ、実験の日々を過ごしていた。


楽しみも苦しみも知らない。どれがどれだかわかってないから。


何度も火で焼かれるうちに、自分と自分の体が離れていく気になった。


火は私の体を焼き尽くし、私は私でない何かになれると思った。



大きな水槽で目を覚ます。また朝が来た。



焼けこげたはずの体は、何事もなかった。


何度も、何度も、何度も



私は焼かれ、水槽で目覚めた。






指先から火が出るようになった頃、焼かれることは無くなった。


「頑張ったね」

そう頭を撫でる大人がいた。


周りは私を見ないのに、この人は私を見てくれる。


だが、その人も笑って私の体を切り取る。


腕も、腿も、背中も、腹も、顔も




体の中の炎がその度に少し



大きくなる



切られることもなくなると、やることもなく。


火を大きくすることを始める。指先だけに灯る炎を見ていると、目の前の世界が揺らぐ。


ゆらゆらゆらゆら。



私の背が大きくなった。


別の大人が、服を用意してくれる。


その大人も私に笑いかける。

その人は優しかったのだろう。


私に何もしなかった。


私をそこから出してもくれなかった。




指先の火は、炎になった。

また切られる日々も面倒なので、大人には黙っておく。



風も使えるようになると、炎は赤から青に変わる。



服をくれた大人に見られたが、誰にも話さなかったようだ。


私は切られることはなかった。


また、新しい服を貰う。

その人は私に施設を見せてくれた。


自分の部屋以外では初めて見る世界。


たまたまだったのか?


あの大人がそうしたのか、扉が開いてる部屋がある。


水槽がたくさんある。



その水槽には私がいた。


少し小さい私がいた。


そして、刻まれた私と焼かれた私が私を見つめる。




壊れた あの時、何かが音もなく


壊れた


◇◇◆



私から出た炎


白く視界を覆う


今思えば、実験施設だったのだろう。


あたり一体を焼き尽くし、私だけが残った。


いや、一体だけ小さな私が残っている。



焼かないと


私が手を前に出すと、その私は手を握り笑った。


もう火が出せなかった。



昨日までの私は私だったのかわからない。


だが、この私が見てる私。


この子の今日と明日を見れば、その記憶が続けば、


私は私でいられるかもしれない。





騒ぎの中、大教会の人間が私達を保護した。


どうせ、こいつらも同じ大人だ、焼いてしまおうと思ったが、小さい私は裸だ。


せめて服を貰うか、焼くのは後だ。



教会の片隅で私たちはしばらく寝た。

朝起きても、焼かれも切られることもなかった。


小さい私は喋らなかった。


ただ私の手を握る。


結果、教会を焼くことはしなかった。


教会は私たちに名前を与え、食事を与え、寝床を与えた。


教会の人は優しかったのだろう。

だが、他は私たちを怖がり近づきはしなかった。



しばらくするうちにヴェルは言葉を覚えた。


私よりは人に興味を持ったが、私以外とは喋らなかった。


いつだったか、教会に怪我人が運び込まれた。


魔物に、人外にやられたのだという。


私は興味がなかった。


やがて、教会にも被害が及そうな時、私は炎で魔物を焼き払った。


寝る場所がなくなるのもご飯がなくなるのも困るからだ。



その後、大きな教会へ移された。


何度か依頼を受けた。


人の生活を見て知ったのは、仕事をし対価を得ることだ。


以前は切られてご飯が出た。ここでは切られも焼かれもしない。


なら、少し手を貸そう。


何年も経ったが、ヴェルは私のように大きくならない。


あの水槽がないと私たちは成長しないかもしれない。



後で知ることだが、あの実験施設は蓮華会というらしい。


人を超える人を作る。


馬鹿げた実験を繰り返す組織であると。


その枝葉がまだ残っているとしり、私達は狩り続けた。


その途中、私達のような存在がいると知った。



それが、教会の戦力になっていること


教会は体裁が悪いので、象徴を用意した。


勇者を担ぎ上げ、その戦力の一部に仕立て上げた。


興味はない。


好きにすればいい。





◆◆◆


アッシュの語りが終わるまで、誰も声を出さなかった。

いや出せなかったのかもしれない。


喉が渇く。


ルナがそっと席を立ち。お茶を用意する間も、誰も言葉を発しなかった。


アッシュの前にカップをおいた時、アッシュが「ありがとう」

というまでは。




「それで、あの赤い少女も似た環境の出身だと」



俺の言葉に、アッシュは頷き、ヴェルは顔を上げる。



「そうじゃないでしょ。今の話聞いてた!」

赤い瞳は涙で濡れている。


「聞いてた。悲惨な過去だ。だが、そんな事は後だ」

俺はヴェルを見つめる。


「そんな事って!?化け物なの、作られた化け物なの!」

怒気を隠しもしない。赤い目は深みを増す。



「私はアッシュから作られた作り物で」

ヴェルが肩を振るわせる。その肩をアッシュが優しく抱きしめる。


「私も、元が何かわからない化け物ですよ」

アッシュの口調は、優しい。



「もちろん、思う事はいっぱいある。だが二人の出生じゃない。そうさせた蓮華会についてだ。それにな……」

俺の言葉が続くのを、ヴェルとアッシュが見つめている。


「化け物?作られた?見くびってるのか」


セラが少し反応してるな。まだ黙っておけ。


俺はレンとモナを、そしてみんなを見る。みんなの目が俺を見る。


「俺もみんなも、そんな事なんだよ」


ヴェルとアッシュが、しっかりと俺を見る。


「もちろん悲惨だ。だけど、今は今を守ることを先に考えたい」


「それは、ヴェルもアッシュも含めてだよ」

セラが補足する。




「魔王らしくなってきたけど、セト君。ちょっと無理しすぎだよ」


セラが俺を見る。そしてルナに後ろから、軽く頭を叩かれる。


ルナの目は怒っている。俺に、ではないな。さっきの話にだろうな。


「ちゃんと時間作って二人といてください」


俺にも怒ってたか。



「そうだね。作戦会議はまた明日。今日はすまないが、ティナちゃんも眠そうだ」


セラの言葉に、モウラとリザがティナを連れて行き。


フィーナとイーゼルは会釈をして出ていき、モナが少し迷うも、レンが手を引いて出ていく。


最後にルナは俺とヴェルとアッシュのカップにお茶を注ぎ、セラと聖堂を後にする。

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