バルコニーとキャミソール
最近モナは北区の九尾ことヨウの元に良く行く。
実際日に日に北区の人口が増えている。というかお店の女の子が増えてるな。
ヨウの判断の元で娼婦になったり、酒場で給仕の仕事をしたりと割り振ってる。
あとは、革職人のディグのところにも入ってるらしい。針仕事が得意な子も多い。
イーゼルと共にきた孤児たちともうまくやっているのか、倉庫街でも見かける。
北区も街の一部として馴染み始めている。
そして防衛として堀を作る段階だ、いつもの如く筋肉信者が活躍している。
ちゃんと給金も出してるんだが、歓楽街に全部吸われるのだろうな。
大丈夫か?聖撃。
などと考えてたら用具置き場から音が聞こえる。モナが帰ってきたか。
◇◇◆
「あのレンに勝てるわけないだろ」
風呂上がりのバルコニーではヴェルとモナがキャミソール姿でくつろいでいる。
最近は暑いけど、夜はそれなりに涼しく、風呂上がりには心地いい。
小柄なのに妙に胸を主張してくるヴェルと、細身だが筋肉がしっかりつき、
モフモフな耳と尻尾のモナ。
そして生足、眼福である。
一方、キャミソール姿なのに、またハルバートを振るレン。
中庭の時ほど激しくは振っていないのに、重厚感半端ない。
そんなレンを見てモナはゲンナリしてる。
「可能性というか、成長するってことよ」
ヴェルはルナに作って貰ったリンゴジュースを飲んでいる。
ルナ、内政の仕事あるのによく作れるな。
「ショートソードなら、まだ遠くからロングソードとかやりようあるんだろうけど」
「あら、ショートソードのレンに勝てる見通しができるなら上出来よ」
「あの斧よりはって話」
モナもリンゴジュースに口をつける。モナは初めてだったのか、少し驚いた顔をして一気に飲み干す。
「私はショートソードのレンでも武器だけでは勝てる気がしないの」
確かに、以前レンとヴェルが手合わせした時は決着がつかなかった。
「話は変わるけど、モナあなた最近ヨウと何してるの?」
その言葉にジュースを飲んでいたモナが少しむせる。
「獣と…」
俺をチラリと見るモナ。なんだ、可愛いぞ。
「獣と人間の結婚の話とか、ヨウの話が多い」
女子の話に入り込まないように俺は席を立ちレンに近づく。
動作を確認するようにまだハルバートを振ってるな。
「レン」
俺の言葉に、ようやく動きを止め、ハルバートを壁に立て掛けようとして、うまく立たず……結局、床に大事そうに置いて俺を見る。
結果、俺が見下ろす形になり。
レンの顔と胸をまじまじと見てしまう。
可愛いとも、綺麗とも違う。
吸い込まれそうな感覚に陥る。
きょとんとしたレンは立ち上がり俺を見つめる。
「んー。なんだ、レン、身体は不自然じゃないか」
見慣れているレンのはずなのに、妙に気を回してしまう。
【前より体の回り方が重いです】
そんな俺の様子をよそに、レンは答える。
「薄型とはいえ、コルセット挟んでの人工スキンだからな」
ガイナス襲撃以降、レンは人工スキンをしっかり貼れない。
スケルトンの体に一度革のコルセットなりで下地を入れてから貼っている。
レンからすれば、いらない重ね着を二枚もしているようなものだ、違和感もあるだろう。
「セレモニーがあるわけじゃないから一度剥がすか」
その言葉に少しレンが困っている。
【肌がなくて平気ですか?】
その問いは、自分がじゃない。俺に向けて言ってるな。
「レンの肌を欲してるのは俺だが、そこは今置いておこう。戦いに違和感があったら、やだろ?」
【モナに負けますね】
「そこかよ。てか昼も言ってたけど、モナの成長ってそんなにすごいの?」
【最初からモナは強いですよ】
俺からすると、この二人は別格に強いと思っているが、
なんだろう、レンとヴェルからのこの信頼。
【それに可愛いです】
負けるって、そっちもか。
「それに関しては同意するけど、レンが負けるとも思ってない。可愛さも強さも」
その言葉に、レンは俺を見る。
少し口が開く。
何か言おうとしてまた閉じる。
その様子に少しだけ俺は満足する。
「また、人工スキンの方は調整してみよう。ノブから貰った宝玉もあるしな」
レンは頷く。
さて、久しぶりに道具屋らしく修繕してみよう。
機械公国のナツメの技術や、化ける事に関してはヨウあたりか。
頼れるものも頼っていこう。
振り向くとヴェルがニヤニヤしている。
「ねぇレンとモナが強くて可愛いなら私は?」
さて、寝る。




