死神の斧
レンがハルバートをゆっくりと回し確認する。
以前マグナスに破壊されたものより大振りだ。
バトルアックスと言ってもいいが、それにしては柄が長い。
「実用的じゃない」
ドンケンからすれば、デカすぎて実戦で使えるものではないという。
試しにモウラに持って貰ったが、普段の舞うような動きには到底ならず。
満足に振り回すこともできなかった。
フィーナは振り回せたが、武器としては使えなさそうだ。
これに限らずフィーナが武器持ったところ見たことないけどな。
「肉体全身が武器です」
照れながら言っていたが、なぜ照れる。
カッツェなら使えるのかな。
そんな使い手を選ぶ武器だが、レンは軽々と使いこなしていた。
「前から不思議なんだが、レンって力はモウラと変わらないくらいだよな?」
「そうですね。アームレスリング大会では準決勝にも残らないくらいです」
「ちなみに準決勝って誰が残るの?」
「カッツェ、ディグさん、フィーナさん、私の時もありますし、最近リザも強いですよ」
モウラの言葉に少し驚く。
リザを見ると恥ずかしそうにしている。
「リミッターが外れたというか、意識が変わった感じです」
リザの代わりにモウラが答えてくれる。
なんか、良い関係というか、ここにティナが加わると賑やかすぎる三人娘になるんだよな。
「ゾンビと私の特性が融合されてるから、リザはもっと強くなるわよ」
ヴェルはなんか誇らしげだ。
「それ合わさると違うの?」
「ゾンビとは言え筋肉は残っていて、ヴェルの血で腐敗から再生を繰り返しながら限界を越えられる状態です」
アッシュが補足してくれた。
「レンの場合は?」
「おそらく魔力の流れなのでしょうね。武器に限りなのかは、わかりませんが特化してるようには見えます」
わかるようでわからん。
「レンは何かわかる?」
新しいハルバートに夢中になってるな。後にするか。
ヴェル達はレンの謎についてまだ話し合ってる。
死神のカマ、いや斧かな。
ハルバートなので、槍にもなるが、今回の武器は斧部分がデカく。
柄もそれ自体が武器になりそうな鉄の塊だ。俺は持ち上げたら腰を壊しそうだった。
レンはそれを頭上で回したり。飛び跳ねた状態から振り回している。
長い髪をなびかせなら中庭で舞うかのようだ。
「あの武器ならマグナスの大剣にも負けないわね」
ヴェルの言葉に俺もうなづく。前回は武器破壊されて、レンはしょげていた。
試合には勝ったのにな。
「ヴェルなら勝てるか?」
「マグナスには勝てるけど、武器勝負じゃないわね」
「レンには?」
「武器では負けるわよ。他の手を使う。いや足かな」
ヴェルは少し照れながら言う。なぜ照れる。
いや、ヴェルは異形を見せるのを嫌がってたな。
一度だけ、背中から赤い足が生えるヴェルを見た。
「綺麗だったけどな」
俺の言葉にヴェルは少し驚き、身を寄せてきた。
「そういうところ」
少しつねられた。
「レンに武器勝負で勝つのは困難よ」
ヴェルは少し考えて。
「私達の中で可能性があるのはモナね」
そう言って笑う。
レンも動きを止めてこちらを見る。
口が開く。音はない。
だが、言っている。
【モナは強い】
筆談をしなくてもなんとなくわかるようになってきた。
「そうね、これから強くなるともいうけどね」
ヴェルにも通じたのか、ヴェルも満足気だ。
しかし、当の本人は最近ヨウのところに入り浸りだ。
ガイナスの一件依頼悩んでいたけど、二人の評価は高い。
もちろん俺もだ。
レンはまたハルバートを振り。
モウラも槍を持ち出してリザに槍を教え始めた。




