北区の仕上がりと通行証
北区の建物も外装は整い始めている。
急に街のような雰囲気だ。
砦の下、森との境界性
少し薄暗い街並みだが、酒場と娼婦宿の怪しさにはあっているのかもしれない。
北の森は暗く、ちょっと怖いけどな。
先日のジャイアントボアの件もある。杭ではなんとも心許ない。
「いずれ堀で囲みますよ」
俺の心配を見透かしてか、イーゼルが説明してくれる。
コンノとイーゼルに街の説明を受けているところだ、付き添いできたモナはヨウのところへ顔を出している。
伝説級の獣同士何か通じるものがあるのだろうか。
「人は足りてるのか?」
「まだこれからも増えますから」
コンノは厳つい顔で笑う。
知らなかったら絶対避ける。
それくらいには怖い。
だがヴェルから聞いたコンノの昔を知った今は、その顔も愛嬌があるように見える。
「あーそれとこれ。渡しときます」
装飾が彫られた木札。東の文字かな。読めない。
裏には狐の彫り物かな。見事な細工だ。
「読めないけど、なんだこれ」
「旦那用の通行手形です。いずれ、ここは限られた人しか出入りできなくなるので」
「まぁ教育上はよろしく無いからな」
「手厳しい。それもあるんですが、賭け事で熱くなったり、女に乱暴する奴もいるんでね」
出入りする人を選ぶらしい。必要なことだ、街の中にさらに街ができるな。
「そのあたりは任せるよ。俺の認識ではあくまで大人の娯楽提供する場所だ」
「理解が早くて助かります。あと旦那のは無料で使い放題です」
俺の顔が引き攣る。イーゼルは笑顔だ。
「何が使い放題?」
「なんでもです」
少し心が揺らぐ。
なんで、イーゼルは笑顔かね。君は俺の嫁候補だよね?
「殿方には必要なことと理解してます」
なんか変な理解されてる。
「旦那以外が使っても大丈夫ですが、再発行はしませんので、お気をつけください」
ルナに燃やされそう。
「なるほど、ただ視察に来る分には持たなくて大丈夫?」
「通行自体は問題ないですよ。さっきの子も出入りは自由だと周りにも伝えておきます」
モナは何度もここに足を運んでるようで、コンノ達に顔を覚えられているようだ。
「そんなところですかね」
コンノは説明を終え。仕事に戻った。よく働く奴だ。
「それ、使わないんですか?」
イーゼルが覗き込む。
「使い道がない。いや酒を飲むだけならあるか、いや無いなぁ」
「もうハーレムありますものね」
「言い方が引っかかるが、その通りだよ」
木札をしまう。一応持っておこう。
「大丈夫です。私は言いませんから」
何が大丈夫なんだよ。どうせバレるんだよ。特にモナに匂いで……
セラにはよくわからん能力で見透かされるし、ルナにも
あれ全員になんらかの方法でバレそうだ。
「モナがよく来てるって?」
「そうですね。ヨウさんとよく話してますね。気になりますか?」
「気にはなるけど、レンの職人街通いと同じだ。そっとしておくよ」
「セトさんも理解があるから、みんなも歓楽街ぐらい理解しますよ」
「それはするかもしれないけど、俺の問題だ」
男には痩せ我慢も必要なのだ。
「やっぱり、私はセトさん好きですよ」
不意に笑顔で言うのはずるい。少しドキッとした。
「なんですかね。顔色を伺う必要がないというか、全部顔に出てると言うか」
「嫁がすごすぎて取り繕う必要がないんだよ」
「だとしてもですよ」
なんだかわからんが、イーゼルのからの評価が上がったようだ。
「あとは私の魅力を知ってもらわないと」
なんだか張り切っている。
そんな中、モナが戻ってきた。
「もういいのか?」
「うん、そっちはもう終わった?」
最近、暗かったモナが少しスッキリした顔をしている。
イーゼルも仕事に戻ったし、俺たちも戻ろう。
さて、木札をどこに隠すかな。




