ヴェルとの夜、それぞれの朝
「それで?」
夜、魔王城のバルコニーでキャミソール姿のヴェルに話しかける。
ワンピースと言えばいいのか。裾の長いヤツだ。
風呂上がりの生足がニョキっと出ていてなんとも眼福。
いや、はしたない。でも見る。
「どれ?」
ヴェルはイタズラ顔で足を組み直す。うむ見えそうで見えない。
「コンノの奥さん」
「あー。それね。以前は大教会と協力して厄災というか、行きすぎた人外を止めてたのよ」
「それはなんとなく聞いてるな。アッシュと暴れ回ったんだろ」
「暴れ……否定はしないけど言い方」
ムスッと膨れているが、否定はできないらしい。
何度かヴェルの戦い方は見ているが、再生能力のせいか、傷ついてもかわまわず前進して切りつけるヴェルは、敵にとっては恐怖でしかない。
逆にアッシュの戦う姿はあまり見ない。炎で焼く姿はよく見ているがっと考えてるとヴェルの顔が近い。
「他の子のこと考えてたでしょ」
俺に覆い被さるぐらい近くに寄ってきたヴェルが俺の頬をつねる。
「ヴェルと違ってアッシュの戦う姿を見たことないなっと思ってな」
ヴェルは拍子抜けしたように脱力し俺に背を向け、そのまま俺に座ってきた。
昼間炎に当たっていたせいか、そのあと風呂に入ってたせいか、ヴェルの肌がほんのり赤い。
風呂だな、ヴェルはすぐ再生する。だから炎の中で乾燥具合見てたわけだし。
真面目なことを考えないと、なんともやばい。密着具合がね。
この尻圧は、いかんともしがたい。
「無理しなくていいわよ」
バレてるな。
「あとでね」
その言葉に俺は観念して、そのままの体制で話を続ける。座ってるが立っている。言わせんな。
「それでコンノの奥さんは」
「セトお尻に何か」
「お前がそうさせたんだろ!」
◇◇◆
朝、まだ寝ているヴェルを置いて部屋を出る。
あのあと、ポツポツと話は聞けたがあんな調子でどこまで本当なのかわからない。
要約すると、傾国とも呼ばれる九尾の狐が力を失うほどのことがあって、危険対象から外れたと。
わからんわ!
なのでイーゼル探して話をしないといけない。
と中庭を通り過ぎようとしたら、ルナに手を引かれた。
「一人で出歩かない」
ちょっと怒ってる。
「いや視察をね」
「あなたは狙われる立場でもあるんだから、護衛をつけてください」
「そんな大袈裟な」
俺の言葉にまた睨むルナ。
さっきまで魔人とも呼ばれる嫁と一緒にいたのに、普通の人間であるルナの方が怖い。
「そうは言っても、レンはまた職人街だろうし」
目を泳がせているとモナが目につく。
「「モナ」」
ルナとハモった。
ルナがちょっと笑うので安心した、本気で怒ってはいないようだ。
呼ばれたモナは、ビクッとしてから俺たちに近づく。
「何?」
「セトの護衛お願いできる」
「いいよ。散歩でしょ」
うん。散歩。いや、視察。
否定する気もないので、二人で歩き出す。
ルナはまた執務室。いや寝室向かったな、まだヴェルが寝てるけど。まぁいいか。
ヴェルにもルナの怖さを味わってもらおう。




