北の開発と管理者
北の開発も始まり、街はさらに賑やかになる。
イーゼルはしばらくそちらに付きっきり。レンとモナはまた鍛冶場に顔を出してるようだ。
「娼館宿って教会的にはどうなんだ?」
執務室にセラとルナがいたので聞いてみる。
「大教会では特に禁止はしてなかったんじゃないかな」
「個人的な考えは?」
「必要悪というか、明日死ぬかもしれない冒険者に禁欲も酷でしょ」
「なるほどね」
確かに、命の保証もない冒険者には捌け口は必要かもしれない。
性欲に限った話でもないから酒場などは必要か。
「私の意見じゃなく、君がどうしたいかだよセト君」
その問いかけに、ルナも俺を見る。
「反対はしないよ。許可も出したしな」
「行ってみたい?」
セラがとんでもないこと聞いてくる。
ルナの目が、さっきより鋭い。殺気?なんか漏れてますよルナさん?
君たち二人、俺の嫁だよね?
「興味がないわけじゃないけど、行く必要も行く気もないよ」
その言葉にルナは殺気を鎮める。今気づいたけど、太もものダガーに手が伸びてましたね。
「セトハーレムで手も足も回らないものね」
セラも満足げだ。なんだその表現。
「とは言え、把握はしておかないといけないから説明するよ」
セラが少しだけ真面目な顔をする。
「イーゼルが仕切ってるけど、後々あそこを管理するコンノ」
初耳な名前が出てきたな。
「獣人の奥さんがいたのだけど、風当たりが厳しく奥さんが一度消えたらしい」
「一度?」
「そう、コンノは奥さんを探し出すために故郷を捨てて、途中汚れ仕事などをこなしながら奥さんに辿り着いた」
「そいつ昨日しゃべったかもな」
「獣人と結婚するのは珍しいからね、多分本人だろう」
セラが書類の束を俺に渡す
「そのコンノの仲間、手下と言うべきかな。その詳細がそれね」
大まかな特徴が書かれた書類。わかりやすい注意事項まであるな。
「それとこっちは、娼館宿の管理人とおおよその女性達」
今度の書類束はさっきの倍ある。
「管理人?コンノじゃないのか」
「コンノの奥さん。狐の獣人という話だね」
狐の獣人。妙にときめく。モナは狼のような獣人だが、また違う感じなのだろうか。
「興味が出たかい?」
「正直、会ってみたいな」
「人妻だから手を出しちゃダメだよ」
その言葉にルナが反応するが、いやしないよ?
「あくまで管理者との顔合わせだな、イーゼルも同席してもらうよ」
「それがいいね。なんせ神よりイーゼルを信用している」
「そこが、疑問なんだが、イーゼルはなんでならずものから信頼を集めてるのかね」
「そのうち分かるだろうから、言っておくと自覚がないカリスマは危険なの」
セラの目が細くなる。
「今の会話繋がってるか?」
「そのうち繋がるわよ」
セラは書類に目を落として、それ以上続けない。
自分で知れということか。
二人は仕事に戻ったので、俺は散歩。
……町の視察に出ることにする。




