建国祭 結び
「真面目な話なら聞こうか」
俺も襟を正す。
後ろでは、ティナたちがはしゃぎ、
闘技場は相変わらず盛り上がっている。
その喧騒を背に、会話が進む。
「とまぁ……ノアも、きな臭くなってきたのでな」
「わかった。だが、無条件には受けられないぞ」
「当面の資金は心配するな。だから、頼みたい」
それ以上は聞くなと、言わんばかりの態度だ。
レンとの戦いといい、俺との言い争いといい。
何か、妙なはしゃぎ方が気になる。
だが、いい。
リザの件もある。
フィーナの魔王支部も。
マグナスへの借りは、多い。
「ああ。任せとけ」
これくらいで、返せるものではない。
そして、語らないものを掘り返す趣味はない。
マグナスの顔が晴れた、そのタイミングで、
どうやらメインイベントが始まるようだ。
モウラが、闘技場の中心に立っている。
「さぁ! 建国祭・最終イベント!
期待のメインイベントの時間だぁ!」
今日一番の声。
それに続く、拍手と喝采。
「元聖騎士にして、聖女とも呼ばれる女!」
白地に緑の差し色と金の刺繍のローブを、頭から被った女性が厳かに中央へ歩みを進め。
後ろを筋肉信者が続く。
「魔王城聖撃司教!フィーナ・リーベア!」
ローブを筋肉信者へ預けると、ビキニに似た服装のフィーナの肉体が露わになる。
マグナスやカッツェような盛り上がった筋肉ではない。モウラのような美にこだわる筋肉でもない。
だが華奢に見えても詰まった筋肉は、実戦向きで無駄のない。それでいて女性らしい。
聖騎士でも。聖女でもない。
フィーナはフィーナだ。
闘技場中央に設置された四つの柱、それをロープで囲んだ空間に、フィーナが足を踏み入れる。
堂々とした態度で入場門を見つめる。
「さぁ、前回優勝者カッツェの登場だ」
入場門が開くと初めからビキニスタイル、肩に申し訳程度に布を被せたカッツェが入場する。
派手な鳴り物も、今回は必要ない。
ただ一人、悠然と歩く。
そして、ロープをくぐり、フィーナと対面する。
「お互い拳を合わせるのは、初めてだな」
カッツェが手を差し出す。
「ええ、うちの家族のために、勝たせてもらいますよ」
その手をフィーナが強く握りしめる。
フィーナが貴賓席をチラリと見る。
モナとヴェルがうなづく。
建国祭
スターダスト
結びの一番
手を握り合ったまま。
お互いを見つめ合ったまま。
ドラが鳴り響く。
空いた手を握りしめ。
二人の拳が、交差する。




