建国祭 嫁と婚約者
祭りは盛り上がり。
セレモニーが終わった後は、武器職人達のデモンストレーションなどが行われる。
レンのハルバートやモナの兜割。
量産品なので、二人の物より質は劣るのだろうが
闘技場の外で販売し、人気を博していた。
ビキニアーマー隊に至っては、ハルバートを正式に採用したようだ。
屋台の方でも、さまざまな料理が並んでいる。肉、串焼き、甘い菓子。香ばしい匂いが、風に乗って流れてくる。
だが、流石に花嫁衣装のまま屋台をうろつくわけにもいかない。
「……せっかくのお祭りなのに」
モウラが、明らかにつまらなそうな顔をしていた。
モウラと一緒にリザも膨れている。
リザは、食事よりモウラと歩き回りたいのだろうな。
身内の場所では、年頃の娘のように振る舞うが、
セレモニーなどの舞台上では、誰よりも堂々と振る舞うモウラ。
そして、それに見劣りせず。動くリザ。
ゾンビになってからは感情表現が苦手になっていたが、
モウラと行動を共にするようになってからか、
ここ最近は、随分と表情が豊かになってきた。
「二人は、また出番があるから。それ終わったら二人で行ってきてもいいぞ」
「ほんと!」
モウラの顔が明るくなり、リザと二人で手を叩く。
二人は、花嫁衣装ではないし、まぁ良いだろう。
「日暮からは、また例のが始まるから、そっちはよろしくな」
リザと盛り上がっていてモウラは聞いてないな。
リザは口が少し動いて、俺に合図する。
……伝わっているらしい。
その様子を微笑ましく思う。
闘技場での催しがひと段落するごとに、俺やみんなが、貴賓席で手を振る。
モウラとリザは、舞台に上がる。
よく通る声で、モウラが司会を務め。隣に凛としたリザが立つ。
魔王の家族、婚約者の二人。
すでに七人嫁がいて、なぜ二人が婚約者なのか。
「年が若い子も、見初められたら早々にチャンスが来るということだよ」
セラが悪い顔して笑ってるな。
「お前、これ以上増やそうとしてるのか?」
「単純にセト君の嫁って話ではないの」
「うん?」
セラが少し真面目な顔をする。
「他国と繋がりを持つのに、有効な手段ってことよ」
「俺以外でも、その役目ができる人が欲しいな」
正直、嫁が増えすぎても困る。
「弱気なこと言わないで三桁目指すわよ」
目が本気だな。
「善処します」
有能な部下を早く育てて、
その役目を全部投げたい。
俺は、アトリエでゆっくりものが作りたいだけなのだ。
「そうはいかないよ」
「心を読むな」
モウラとリザが席に戻ってきた。
「ほらいくよ」
「あれ?」
二人で行ってきなっと言ったつもりだったのに、俺も連れていかれるようだ。
「大丈夫だよ。こっちはやっておくから」
セラが笑顔で手を振っていた。
モウラもリザも力強く俺の手を取る。
「……デートしたいです」
珍しく、意思表示をするリザ。
「わかったよ。歩くから手を離せ」
「ダメです。みんなに見せつけるためですから」
モウラが腕に強く抱きついてくる。
歩きづらい。
リザも真似する。
うん、もうね。歩けないから。
ちょっと窮屈で幸せな時間を三人で楽しんだ。




