建国祭 お披露目
建国祭当日。
セレモニーは、厳かに進んでいた。
俺は闘技場の貴賓席から手を振り、
お披露目の開始を合図する。
少し離れた席にはマグナスが座っている。
普段より威厳があるように見えるが、
単に二日酔いで大人しくしているだけだ。
そして――始まる。
レンたち、嫁のお披露目だ。
まずは、ルナとセラ。
入場門から手を振ると、歓声が上がった。
二人はそれほど街の住人と直接の接点があるわけではない。
それでも、ロイヤルファミリーという肩書きは、
それだけで話題になるものらしい。
歓声の中、貴賓席へ続く道を歩いてくる。
セラはいつも通り堂々としているが、
ルナは――笑顔が、少し引きつっている。
無理もない。
俺を挟む形で並び、三人で手を振る。
「……これっきりにしてくださいね」
ルナが、小声で念を押してくる。
「俺も同感だ」
正直、こんなに目立つのは一度で十分だ。
ルナとセラが席に着く。
俺はそのまま立ち、手を振り続ける。
だが
民衆の視線は、すでに俺から外れていた。
次に現れた、アッシュとヴェルに釘付けだ。
「ヴェル! ヴェル!」
圧倒的な人気だな。
アッシュにも、少なからずファンがいる。
特に女性人気が高いらしく、
潤んだ目で見つめている人もいる。
二人が席につくと、
今度は野太い歓声が闘技場を揺らした。
そして
「「「フィーナ!」」」
フィーナが現れ、手を振る。
その瞬間、闘技場が静まり返った。
普段はふざけていても、聖撃司教。
その彼女が、花嫁衣装で、
魔王である俺の前へ歩いてくる。
その意味を、民衆は理解している。
筋肉信者の中には、泣いている者もいる。
ノアから共に、魔王城聖撃についてきた連中だ。
感慨深いものがあるのだろう。
フィーナが、俺の隣に立つ。
一際大きな歓声が上がり、
そして席についた。
再び、視線が入場門へ集まる。
モナと、レン。
少し前を、モナが歩く。
その後ろを、レンが続く。
他の誰よりも、
子供たちの歓声が多い。
戦う姿も見られているが、
子供にとっては、
遊んでくれる人、守ってくれる人
その印象の方が強いのだろう。
モナは、少し照れた様子で。
レンは、厳かに。
その堂々とした歩みは、
闘技場中の視線を、一点に集めていた。
そして
二人が、俺の隣に立つ。
不意に、レンが俺の裾を掴んだ。
予定にはない行動だ。
「緊張したか?」
俺の問いに、レンは小さく首を振る。
そして
俺の頬に、キスをした。
闘技場の歓声が、爆発した。




