国を作る活力
闘技場の真ん中にステージが出来上がっている。
そこで、モウラとリザの演舞を、少し離れた場所から見学する。
モウラの槍による演舞は、以前にも帝国で目にしたことがある。
儀礼の一環として、実に見栄えがする。
建国祭の開幕にふさわしいと思い、今回も頼んだわけだが
今回は、リザも加わっていた。
婚約者二人が、祭りの幕を開ける。そういう意味合いになる。
「静と動が大事になります。特に静です」
モウラが槍を回し、ぴたりと止める。
「動かない。止める。その間があるから、動に意味が出ます」
その指導のおかげか、リザの動きも次第に締まってきた。
一つひとつの所作に迷いがなく、視線も定まっている。
二人が並ぶ姿は、それだけで絵になる。
神事、と言われても納得する出来栄えだ。
そして、後ろでは筋肉集団が綺麗に整列している。
「ワンツー聖撃!」
こっちは神事なのに神事に見えない聖撃だ。
フィーナが全体に撃を飛ばす。
「当日私は、別に動かなくてはなりません!」
「おっす!」
「やりきれますか!」
「おっす!」
「もう一丁!いく?」
「おっす!」
百本突きの掛け声が、闘技場にこだましている。
「隣人の筋肉を超えよ!」
「超えよ!」
何気に、子供たちの姿も見える。
馬鹿げた宗教に見えるが、住民たちの受けがよく、最近は信者数が増えてるらしい。
それと、一部からフィーナは聖女フィーナと呼ばれいる。
元は聖騎士だからな、そう呼ばれるのはわからんでもないが。
「左の拳は癒しの拳!」
基本殴って解決の宗教なんだけどな。
「愛と勇気だけが……」
待てフィーナそれは危険だ。
「他の宗派の受け売りですが、元気があればなんでもできます」
あーその言葉は納得だわ。
他の宗派の言葉も使うあたりは魔王城らしいな。なんでもありだ。
闘技場の外にはギルドの支部も出来上がりつつある。
冒険者ギルドや、商人ギルドは商売になると踏んだか行動が早かった。
おかげで、新しい店も、人材も、増えていく。
人を選別していないせいか、ゴロつきもいる。
もっとも。
一度大暴れた集団がいたらしいが、カッツェが単騎で組み伏せたらしい。
それ以降、表立っての治安は保たれている。
追い出す気はない。選別を始める気はないからだ。
血の気が余ってるなら、大会に出てくると良い。
俺……の嫁が相手をするぞ。
そう考えると強さを見せつけるのも、大事なんだな。
暴れさせないための武力というべきか。
抑止力でもあるが、恐怖ではなく、尊敬の念も集めている。
カッツェファンや、ヴェルファンがいるという話も聞く。
力は、ただ振るわれるものではなく、見られ、語られ、憧れられるものになりつつあった。
モウラが帝国で積み重ねてきた「魅せる戦い」
それが今、国づくりに欠かせない活力になっている。
建国祭で行われる大会は、トーナメントではない。
対戦相手はあらかじめ決まっている、一回勝負だ。
その中でも、ひときわ注目を集めているのは
「前回優勝者カッツェ VS 聖撃の聖女フィーナ」
……武力のトップと、宗教のトップが、何をやっている。
特にフィーナ。
お披露目だって、言っておいたはずなんだがな。




