国名と苗字
「建国祭とします」
セラがみんなを執務室に集めて、そう言い放った。……やっぱり昨日、酔ってなかったな。
「建国?」ヴェルが首を捻る。
まあ、そうなる。普通に生きてたら、国なんてそうそう作らない。
「面白そうね」ヴェルは、普通じゃなかった。
【セトの国】レンが当然のように言う。
「闘技場でのお披露目を、建国祭にするってことか。 国を名乗る、でいいんだよな」
「そうだよ。セト君! 君の! 私たちの! 街みんなの国だ!」
街って言ってる時点で、まだ小規模だが、
ノアだって城塞都市だし、最初はこんなものか。
「国名どうするんだ。さすがに魔王城はまずいだろ」
「街のみんなに聞く?」モウラが言う。
「いっそ聖撃を名乗るか?」
「一応、名乗れなくはないですが…… ノアにも聖撃がありますので」
フィーナにやんわり止められた。
「国名はねそのまま、セト君の、私たちの苗字になるから」
……セラがさらっと、とんでもないことを言ったな。
「まあ、まだ時間はあるから。考えておいて」
夕飯何にする?それくらいの温度で、セラは話を締めくくった。
◇◇◆
「セトの国でいいんじゃない」
モナが軽くいう。
「そうすると、セト・セトという名前になるのだ」
俺の言葉にモナがようやく気が付く。
「それは、ダメかもね」
「だろう」
【ハーレム】
すまないレン、それは国名にならない。
却下したら、しょんぼりしてた。本気だったのか。
「祭りの準備しながら考えようよ」
ヴェルの考えは軽い。
◇◆◆
「ならシヅマの名をくれてやろう」
闘技場の進捗を見にきたら、ティナに提案された。
「お前が、シヅマを名乗れば、自動的に私の国になる」
なぜか胸を張られる。
「その案だと、ティナはセトさんのお嫁さんになりますね」
アヤネがサラッというと、ティナがあっさりと案を引っ込めた。
いや、いいんだけどね。
「まぁもう少し考えるよ」
その後もドンケンに「ウォーハンマー」だの
たくさんの人から、提案をもらう。
セト・ウォーハンマーってなんだよ。
道具屋のセト
鍛冶屋のドンケンで通じてた世界だからな。
苗字を考えるのがめんどくさいのはわかる。
そもそも、王族と限られた人間しか苗字なんて持ってない。
「私はタイプコードと愛称でしかないので」
ナツメは、本来マキナ07という名前でしかない。
ただ、それは規格名というか、同じ個体が機械公国には存在するらしい。
なのでナツメという愛称が必要となる。
ナツメと同じ顔がいっぱいいる国か。
想像するとすごいな。
「お力になれません」
「いや、ありがとう」
ふむ。困った。
あーモーナフェルム
モナの種族名だが、これはありか レン・フェルム。モナ・フェルム。ヴェル・フェルム。
悪くないんだけどな。
モナが嫌がるかな。
しばらく考えたが、結局その日は決まらなかった。




