炎の使い道
ここ数日遊びすぎた。
いやレンの修復に力を入れすぎたと言うべきだ。
「随分楽しげでしたね。」
月夜のバルコニーで、アッシュが笑う。
アッシュも花嫁衣装を見せたいのか。
白地に赤い刺繍。
燃え上がる炎のようで、アッシュによく似合う。
胸元が大きく開いていて、なんというか、吸い寄せられる。
「人外、もうそんな言葉で分けるのが馬鹿らしいくらい、あなたの元は賑やかで」
少し、物憂げな顔を見せる。
「以前の私なら考えられませんが、今は、その空間が楽しいです」
かつては教会の最大火力として、ヴェルと多くの人外を葬ってきた。
ヴェルは、あの調子だからわからんけど。
アッシュはその強者ぶりが、普段からわかる。
「楽しいのは重要だ。最も、俺は最近楽しみすぎて、ルナに渋い顔されてるけどな」
アッシュは微笑みながら俺を見つめる。
「それでも、辞めないのでしょ」
「目潰しまでされたら、流石に自重するよ。三日くらい」
「あなたらしいですね」
夜風がアッシュの髪を揺らす。
「でも、私も」
「ん?」
「楽しみすぎかもしれません」
アッシュが指先に小さく炎を灯す。
その明かりは、アッシュを優しく照らす。
敵を焼き尽くす炎の使い手だが、教会でレンガを焼いたりしてる姿も知っている。
「楽しんでいいよ」
「でも、私は最大火力として……」
「戦力としては頼りにしてるかもしれないが、それは置いといて」
アッシュの隣に腰をかける。
近くで見るアッシュは、ヴェルとは違った怪しい魅力がある。
うちの嫁の中では、一番落ち着きがあり、お姉さんだ。
「俺にとっては、自慢の嫁だと思ってる」
「ふふっ。ヴェルがあなたを気に入るわけですよね」
指先の炎は、暖かい。それを優しく俺の胸元に近づけ、消えた。
アッシュの指先が俺の胸元を触る。
「新しく来た住民に対してもそう。あなたはすぐに仲良くなる」
ちょっとつねられる。
「あなたのいいところでもありますが、嫉妬も少しはするんですよ」
「アッシュが、そういうことを言うとは意外だな」
「ヴェルが全部先に言ってしまいますからね」
からかうように、少しの本音混ぜる。
「フィーナほど正直に生きられれば、いいのですけどね」
「いや、あれは一人だからいいけど。てか、ここの教会のトップがあんな調子でいいのかな?」
「とても、ここらしいと思いますよ」
んーーここ数日の自分と、いつものフィーナ。
「かもな」
妙に納得してしまう。
「大丈夫ですよ。行き過ぎたら私が焼きますから」
冗談なのだろう。冗談だよね?
以前マグナスにもガチ説教してたからな。
俺も気をつけよう。
考え込んでいると、アッシュは優しく笑う。
「じゃぁ、今日は私のことを見てくださいね」
そう言って俺の手を引く。
暖かな指先。
敵を焼き尽くすだけの炎ではない。
アッシュの炎は仲間を照らし、暖を取らせる。
今日は二人で暖まることにする。




