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最強スケルトンに恋をした ~嫁達が強すぎて魔王認定されました~  作者: HK技研
魔王城完成 そして

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職人達の熱い夜

ヴェルが騒いでいる。どうやら、レンがうまく着れないようだ。


「ドレスが滑るのよ! 固定できない!」


レンの胴体はまだスケルトンの状態。


ヴェルの魔法で見た目は整っているが、あくまで幻覚だ。触れれば実体はない。


人工スキンは定着せず、服を引っかける場所がない。



「そりゃ滑るな」


幻覚の上にドレスを着せても、意味がない。


「どうするのよ、このままだと歩いた瞬間にずり落ちるわよ!」


「ドレスまで魔法で作るのは?」


「それもありなんだけどね。でもせっかくなら……」


ドレスへの想いもあるか。


仕方ない。


「……粘土で形だけ作るか」

「粘土?」


「見た目は魔法で誤魔化す。 物理的に引っかかりさえあればいい」


ヴェルは少し考えてから、頷いた。


だが、すぐに問題が出る。

重さと、形の維持だ。


なんせ粘土だ。触ればへこむし、関節まで粘土にすると、腕を曲げただけで形が崩れる。


「関節は粘土無しだな」


見た目は魔法でカバーできる。ただ、空洞にすると、今度は耐久が足りない。

粘土が自重で形を変えてしまう。


しばらく悩んでいる。


「焼き物にしてはどうでしょう」

オリベが、さらっと言った。


「焼くのか?」

「焼けば形は保てます。帝国の人形は焼き物が結構あります」


ものは試しだ、やってみるか。


職人街の焼き場を借り、作業をしていると


「回りくどいことしてるな」


ドンケンが呆れたように言った。


次の瞬間、差し出されたのは薄銅板で作られたコルセット。


「これでいいだろ」

「……却下」


即答すると、ドンケンが目を見開く。

「なぜだ」


理由は簡単だ。

「おっぱいが小さい。あと硬い」


沈黙。


オリベが視線を逸らし、ドンケンが腕を組む。言い返す言葉が見つからない顔だ。


彼らは職人だ、妥協を許しては、いいものなのできないことを知っている。


決して、呆れてるわけじゃない。はず。


試行錯誤を繰り返す。

俺たちは、考えを出し合い


試作を重ねた。


他の職人も交えて、おっぱいとはくびれとは……

熱く語り合った。


皮職人のポルコに至っては泣き出してしまった。


「俺の作るコルセットは未完成だったのか……」


深く、心に刺さったようで、自分の作業場にこもった。


わかる、わかるぞ。



挑戦すべきものがある。

それが難解であればあるほど


職人には燃えるものだ。




その夜は、結局――徹夜になった。


基本構造は銅板。要所に粘土を使い、形と柔らかさを確保する。


「胸部は粘土だな」

「異論はない」


妙に真剣な会話をしながら、外装を組み上げていく。


途中から、ナツメも加わった。


もっとも、ナツメのボディも鉄の塊だ。


「私と同じものを作るなら、大がかりな工場が必要ですね」

「だろうな」


どの国も求めてやまない。機械公国の技術だが、その工場がネックで

再現が不可能なのだ。


それは諦めるしかない。この場所で作れるものを作る。


だが、ナツメの技術と知識が入ったことで、コルセットの出来は見違えた。


強度、重心、固定――すべてが洗練されていく。


胸の造形に関しては、ナツメの技術を持ってしても困難だった。


「……その、胸部へのこだわりは必要ですか?」


「必要だ」


即答した。


ナツメは難色を示したが、それ以上は言わなかった。


なお、少し離れた場所でフェルが完全に引いていた。


目を合わせると、静かに扉を閉められた。



ウブなお嬢さんは……触れないのが正解だ。


なぜなら、俺たちは最高にホットだから。




完成した外装は、銅板の骨格に、ところどころ粘土。


特に――胸部。


「よし」


滑らない。潰れない。


俺の思い描くレン。火事で焼かれる前のレン。


レンに着てもらった。


歩く。座る。立ち上がる。


そのあたりは、問題ない。


【形はすごいいいです】


レン自身も、そう評価した。だが、

身体をひねった瞬間、違和感。


「……可動域が、足りない」


体を前に曲げる、横に腰を切る。動きが、そこで止まる。


【戦いには不向きそうです】


シルエットにこだわりすぎたか。


確かにそうだ。銅板を主体にした以上、稼働部分が少ない。


式典用としては十分でも、戦闘となると話が違う。


「式の時だけ、か」


そう口にすると、レンは肩をすくめた。


【短時間着るだけなら、我慢します】


「すまない、俺たちの技術不足だ」


ヴェルも、腕を組んで頷く。

「見た目は目的を果たしてるわ。 これで式典は問題ない」


つまり――ここで終わらせることもできる。


だが。

その瞬間、胸の奥で何かが、かちりと鳴った。


振り向く。


オリベ。ドンケン。ナツメ。

三人とも、同じ目をしていた。


「……可動域を確保できればいいんだな」


「強度を落とさずに、ですね」


「分割と逃がしを増やせば、いけるかもしれません」


誰も、「無理だ」とは言わない。

ヴェルが小さくため息をついた。


「……もう十分よ?」


「いや」



俺は、首を振る。

「できるかどうか、試してない」


レンは黙って、その様子を見ていた。そして、少しだけ笑う。


【期待しています】


そう言われたら、止まらない。



式典の目的は、もう果たしている。だが、

職人の挑戦は、まだ終わっていなかった。






その後、皮職人ポルコの作ったコルセットが持ち込まれた。


動き、胸の形、捻った時の負荷、耐久性。すべて問題なし。


何より、おっぱい。驚きなのは手触り。特殊ななめし方で作られた皮。


ビーズをつめた別パーツで、着脱・サイズ調整も可能。



その出来栄え、着心地にレンもヴェルも満足したのは当然だ。



悔しいが完敗だった。


だが、まだだ、まだ終わらんぞ。



「おっぱいおっぱいうるさい!」



更なる挑戦はフェルの鉄槌によって強制的に終わらされた。




ドンケンが縮こまるのを初めて見た。


四人ともしっかり怒られた。



一般用に改良し直したポルコのコルセットはその後飛ぶように売れ。


さらには、他国への輸出商品として名を連ねたのは、別の話。

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