ランプとビロード 内と外
人工スキンをヴェルとモナの魔力を乗せ、ワンドで固定する。
以前もやった方法だが、レンの胴体部分がどうしてもうまく定着しない。
腕は手首から肘あたりまで、治ったのに、部分的につかないのだ。
特に胴体が壊滅的だ。
「火事現場で途中失った人工スキンと、あの樽の爆発で失った部分の差かも」
ヴェルが言う通りかもしれない。
「浄化の炎は禁止されているものなんですよ。後遺症というか、後にも影響を及ぼすので」
フィーナは少し辛そうだ。
直す方法として、光魔法があるようだが、レンにそれをやるとどうなるのだろう。
怖いので試せない。
あとは時間経過を待つしかないようだ。
【おっぱいが作れない】
うん、そこは、まぁ……
大問題だった。
いや、ほら、胸元開く服着るじゃない。
他意は、あるよ。
男の子だもの。
ともあれ今は衣服で誤魔化している。
「ちょっと前に戻った感じだな」
◇◆
夜、寝室で以前オリベが賽の目状にしてくれた壺を組み直す。
レンもそれを手伝ってくれる。
ランプ灯りで光るビロードは切り口によって様々な見え方をする。
多少削りながら、形を整え、組み直す。
【綺麗ですね】
レンの金色の目がビロード越しに見える。
宝玉の目。
レンの魂をダンジョンの縛りから、解放したとノブが言ってたな。
微笑むレンをビロード越しに見てふと、思い出す。
「レンは、後悔してないのか?」
こう聞くのは、卑怯かもしれない。
【してないよ】
言わせてしまったのか。
気にする俺の顔に、レンがビロードをそっと近づける。
【セトといると、色んなものが見える】
そして、ランプの灯りにビロードをかざす。切り口ごとに、様々な反射が壁に映った。
【同じものを見ても、セトと、みんなと一緒だから楽しいよ】
「そうか」
【リザの時は、急いで処置が必要でした】
そうだ。
ゾンビが、人の心を保つのは難しい。だから、あの時は急いだ。
【私は、どんな姿でも生きられます】
レンは、少し誇らしげだ。
服装や外見は、少なからず、生き方を引っ張る。
だが、レンは……
もう、引っ張られているだけの存在ではなかった。
【だから、急がなくてもいいです】
「強いな、レンは」
【最強スケルトンですから】
少し恥じらってためらいがちに言葉をつなぐ。
【だから……大会を】
ダンジョン最強のスケルトンは
恥じらう乙女で、バトルマニアだった。
あの時。月明かりで見た、少女の幻影。
今は、ランプの灯りに照らされ、確かな顔を持つレンが、ここにいる。
お互い笑ってしまう。
(急がなくていい……でも……)
そっと、レンの頬に手を当てる。
レンの目は、俺を映す。
手からビロードが落ち、床に転がった。
あの時、
最強スケルトンとの恋に落ち
始まった生活は、
まだまだ、転がりそうだ。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
今回、最終回っぽく見えるかもしれませんが、
まだまだ続きます。
ブックマークやポイントに悩んだり、
PVに一喜一憂したりしつつ
やりたい話を放り込みながら、
行き当たりばったりに転がっておりますが、
これからも、お付き合いいただければ嬉しいです。




