アイアン少女?
マキナ07――いや、ナツメを連れて、焼けた資材置き場を見に来た。
職人街とは違い、こちらは焼けた資材を片付けるくらいで、復旧はほとんど進んでいない。
「騒ぎがあったとは聞いていましたが……こんなに綺麗に焼けるものなんですね」
ナツメが、燃え跡を見渡しながら言う。
「いや、うちのが更に焼いたんだよ」
「へぇー」
ナツメは焼けた地面にしゃがみ込み、鉄の指で表面をなぞった。指先で温度や硬度を確かめるような動きだ。
執務室ではマントを羽織っただけだったが、今はルナに頼んで服を着てもらっている。生身の体じゃないから問題ない、とは言っていたが
顔は、どう見ても女性だ。
……なんというか、気になる。
いや、その前に気にするべきところがあるのだが。そもそも、人間なのか?
そんな疑問が後回しになるほど、ナツメの反応は人間らしかった。
「……ごめんなさい。気になりますよね」
俺の視線に気づいたのだろう。ナツメは少し困ったように笑う。
「私は戦闘用ではなく、調査用です」
風に揺れる髪を押さえながら、こちらを見る。
……思ってもいない言葉が出たな。
つまり、戦闘用がいるってことか。
「いや、違う。君が人間かどうかだ」
思わず声に出てしまった。
ナツメが目を見開く。
いかん、失礼な質問だったか。
スケルトンを嫁にしてる俺が、今さら何を気にしてる。
「セト様は……鉄でもいける人なんですね」
いけない、この子。
ちょっと頭が痛くなりそうなところを、フェルが通りかかる。
「なんだセト、また……機械公国の人だ」
「フェルは知ってるのか」
「火事の前に何度か見かけたからね」
フェルが、ナツメのことを観察してる。
「いい服だね!マントだけより、ずっと可愛い」
「ありがとうございます。ナツメと言います」
「私はフェル。鍛治職人でね。こっちのセトとは昔馴染み」
フェルはナツメの手足を見て目を輝かせる。
「おお、機械公国義手だよね。義足も。実物始めてみた」
観察を続ける。フェルの目に少し体をくねらせるナツメ
「フェル、落ち着けナツメが引いてるから」
「あーごめんね。つい」
「いえ、急だったので、誤作動しそうだっただけです」
……誤作動?
その後もフェルのせいで大した話ができなかった。
というか人間かどうか確認できなかった。
まぁフェルが女の子扱いしてたし。
女の子ということでいいか。
鉄の女?
アイアン少女?
フェルを発端に職人たちが、ナツメに話しかける。
まぁ新しい技術
可愛い女の子
何よりかっこいい機械式
それは、職人なら目がいくし
食いつくよね。
ナツメとの話はまた後日になりそうだ。




