政治のやり口
「クライブは……教皇にも、枢機卿にもなれない男だ」
クライブたちが帰ったあと、アレクが口を開いた。
「偉いって話だったが……あいつの親、教皇だったのか。
どうりで、あそこまで偉そうなわけだな」
思わず、ため息が漏れる。
「継承権もほとんどない。
お飾りの司教で終わると、そう言われてた」
「だがな。
クライブは軍と教会の両方でコネクションを強めた。
そうなると、教皇も枢機卿も無視できない」
アレクは肩をすくめる。
「トップには立てない。立たせてももらえない。
だが――教会も軍も、ぞんざいには扱えない。
そういう、面倒な相手になってる」
「お前が相手にしなかったのは、正直言って面白い展開だったが……」
そう前置きしてから、真剣な顔になる。
「ガイナスは、やはりうちで引き取らせてもらえないか」
「そいつは、さっき断ったんだがな」
「だろうな。
だが、あいつらは強硬手段に出かねない」
「なら、こっちも――」
「街の安全と、天秤にかけてもか?」
その言葉に、はっとする。
セラが、俺の言葉を待っている。
断っても、受けても、あいつは俺の判断を尊重するだろう。
いつもなら軽口を挟むセラが、
今日はただ、俺を見ている。
「……いや。俺の考えが浅かった」
ここは、引いておくべきだ。
俺の意地だけで、
街を――ドンケンたちが復興しようとしている場所を、
壊すわけにはいかない。
「さすがだな、アレク」
内容はクライブと同じだ。
それでも、不思議と納得してしまう。
「復興の金は上乗せしておく。
クライブには、さらに金を積んだら納得したと報告するよ」
「ああ、そうしてくれ」
どっと、疲れが押し寄せてきた。
「いい判断だよ。
ただクライブの思い通りになるのは、俺も面白くない」
アレクは、悪い顔で笑う。
「ガイナスの身柄は軍で預かる。
あいつの息がかからない場所だ」
「……そっちの切り札に残すってわけか」
「そうなるな」
なるほど。
クライブより、よほどたちが悪そうだ。
「ところで、枢機卿ってなんだ?」
俺の疑問に、セラとアレクが揃って呆れた顔をする。
「お前……他所で、そういうことは絶対に言うなよ」
その後、色々と叩き込まれた。
フィーナも司教って、かなり偉かったんだな。
そりゃそうか。ここのトップだもの。
「教皇は名乗らないの?」
そう聞いたら
「恐れ多い!」
即答だった。
宗教って、色々と難しいな。
……聖撃は筋肉宗教だから、また別枠なのか。




