アヤネの国と英雄
黒い衣服を着た大柄な女性。頭には、はっきりとしたツノがある。
未だ、実力はわからない。だが、執務室に立つだけで空気が重い。
アヤネは椅子には座らず、窓際に立っている。
復興される街を見つめている。
「またせたな」
俺とレン。それに、ルナとセラが向かい合う。
「ガイナスに似た存在を知っていると言っていたな」
「ああ」
短く答え、アヤネは視線を逸らした。
「私の国は、英雄を名乗る者に滅ぼされた」
「滅ぼされた?」
「ああ」
少し間を置いて、続ける。
「たった四人にな」
四人で国をと思うが、ウチの嫁達も軍を相手にできると思うと
納得もいく。
「外から来たそいつらは、初めは友好的に接していた」
アヤネは唇を噛む。
「だが、あいつらは」
四人の中には、獣へと変化する者がいた。巨大な体へと変じる者もいた。そして、空を飛ぶ者。
その中心に英雄を名乗る、剣士がいた。
そいつらは、瞬く間に国を滅ぼした。
アヤネの国の人間も、決して弱くはない。
優れた鉄の技術で刀を打ち、アヤネのような大柄な肉体は、戦いに適していた。
だが、その四人は――強さの質が違ったのだ。
最後まで戦い続ける者がいる中で、アヤネはティナを連れ、撤退を選んだ。
生き残った者を連れ、次に繋ぐために。
逃げ延びる途中で、ここ――この地の噂を耳にしたのだという。
「こないだの件は、そいつらが追ってきたのだと」
なるほど。あの時の違和感は、それか。
「すまない。私も、力を貸すべきだった」
「いや」
俺は首を振る。
「あれは、俺たちの因縁だ。気にするな」
「それと」
アヤネは言いにくそうにしている。
「大丈夫よ、アヤネの国の人が来てもウチは受け入れるわ」
話を聞いていたセラが、言う
「ありがたい。どれほど無事かはわからないが」
アヤネが深々と頭を下げる。
その姿を見てから、俺は口を開いた。
「……そいつらは」
「蓮華会とは、名乗らなかったか」
その言葉に、アヤネはレンを見る。
「蓮華会は初耳だが、英雄を名乗る剣士は人間の皮をかぶるものだった」
言いにくそうに口を開く
「黒い骨が少し見えた」




