第二章 嫉妬と誤解【3】
どれほど考えても、答えにはたどりつかない。
ますます、不安になる。
僕という存在が、彼女にとってどういう存在なのかが。
別に男として見られていなくても構わない。
だけど、最低でも使徒としては見て欲しい。
彼女を守ると誓った僕だからこそ、そう思う。
だって、そうじゃないと、僕はいったい、なんのために彼女の傍にいればいいんだ。
今朝のことを思い出す。
響子にもらったアイディアを、やるしかないのか。
乗り気ではない。
理由は簡単だ。
試すという表現方法を用いているけど、これはアリーシアを騙すということなのだから。
父さんの教えを守る僕が、アリーシアを騙す。
それは、きっとひどいことだ。
父さんが知れば、僕は怒られても仕方がないと思う。
でも、それでも、僕は知りたい。
僕が、彼女にとってどういう存在なのかを。
焦燥感、というやつなのだろうか、これは。
怖い、というひとつの感情が、確かに生まれている。
僕は彼女のそばにいることを約束した。
彼女も、それに応え、僕にそばにいるように、言ってくれた。
でも、それは彼女が僕のそばにいるということではない。
あくまで、僕が彼女のそばにいるというだけど、彼女からの働きかけは、ない。
いつか、アリーシアは消えてしまうかもしれない。
彼女の目的は彼女のお父さん、アレイスター・クロウリーの捜索だった。
でも、僕らは知った。
アレイスターがすでに死んでいることを。
そして、その最期の地も、見た。
なら、もうアリーシアがここにいる理由はない。
元々住んでいた場所に戻ったって、いいんだ。
ただ、《狩人》に保護されているから、ここにいるに過ぎない。
……だめだ。考えれば考えるほど、嫌な方向に物事を持っていってしまう。
自分でも不思議に思うほどに、僕は弱く、脆い。
こんなはずじゃなかった。
別れなんて、いくつも経験してきたはずだ。
なのに、どうして?
わからない。
自分でもわからない。
アリーシアに出会って、使徒になって、なにか変わってしまったのかもしれない。
わからないけど、僕がアリーシアとの別れを恐れていることに変わりはない。
だから、試そう。
僕は隣に座る李桜を見た。
彼女は話を終えると同時に、響子が作った弁当を食べていた。
僕はそんな彼女に、
「李桜」
と声をかける。
李桜はちょっと待て、と手で合図して、口の中に含んだものを喉の奥に押しやる。
「んっく、なんだ?」
「おっぱいを揉ませてください」




