第二章 嫉妬と誤解【4】
……。
「燃えるか?」
箸を持った手とは逆の手に、李桜の『炎』が灯る。
《狩人》に所属する彼女が持つ『妖魔殺し』、『炎』の力だ。
先日、僕が彼女と戦ったとき、僕はその『炎』の脅威を身を持って感じている。
だからこそ、僕は迷うことなく、行動する。
「ごめんなさい」
れっつ土下座。
たぶん、僕ほど土下座に躊躇がない男はいないだろう、たぶん、おそらく、メイビー。
正座の状態で顔を上げると、李桜はすでに『炎』を消していた。
「急になにを言い出すんだ、お前は?」
「なんというか、重い話をする前の前座? みたいな?」
「疑問形で言われてもな」
呆れ顔の李桜。
なんというか、僕は重い話、って言えばいいのかどうかわからないけど、まぁなんにせよ、そういう類の話をするのが苦手なのだ。
普段が普段なだけに、こういう話をどういうテンションですればいいのか、正直わかりませんです、はい。
自分で言うのもなんだけど、僕の通常時のテンションは重い話をするには高すぎる気がするし。
だからと言って、急におっぱいの話をするのはどうかと思うけど。
でも、たまたま目に入ったのは李桜のおっぱいだったので仕方がない。
うん、おっぱいなら仕方がない。
「でさ、疑問なんだけど、どうやったらおっぱいって大きくなるの?」
「……知らん」
少し頬を朱に染めて、李桜は答えた。
「やっぱりあれかな? 牛乳を飲むといいのかな?」
「知らん……が、私はあまり牛乳は飲まない……」
「なるほど。おっぱいの成長に、牛乳は関係ないのか。響子に教えてあげないと」
「そこでどうして伊浪妹が出るんだ?」
「いやこれ内緒の情報なんだけどね、響子はみんなが寝静まってから、こっそりと牛乳を一リットル飲んでいるんだよ。それが毎日続いているみたいだから、おそらくはおっぱいの成長を促進するためなんだと思うんだけど、でももしその現場を僕が夜な夜な見て涙を流しているとか知られでもしたら、たぶん夕食のレベルが格段に下げられ、弁当も作ってくれなさそうになるから勘弁しておいてね」
「えらく饒舌に妹の秘密を暴露するな、お前」
いやぁ、日頃の鬱憤と言いますか、なんと言いますか。
李桜曰く、そこには恍惚の笑みを浮かべた僕がいたとか。




