第二章 嫉妬と誤解【1】
「ん? なんだ、恭平ひとりか?」
昼休み。
僕は李桜を屋上に呼び出した。
用件はもちろん、アリーシアのことで。
そのついでに一緒に弁当を食べようと、朝のうちにメールしておいたのだ。
アリーシアのことを訊ねるのに、僕の隣にはアリーシアがいない。
「それが……連れ出そうとはしたんだけど、クラスメイトが周りを固めて、とても呼び出せるような感じじゃなかったんだ」
どの休み時間も、僕が話しかけようとしても、我先にと急ぐクラスメイトの波に押し負け、結局は朝の挨拶以来、僕たちは言葉を交わしてはいない。
昼休みにしてもそうだ。
アリーシアと一緒にここに来ようとは思ったものの、僕が声をかけようとしたときにはすでに十人以上がアリーシアの周りを囲んでいたのだ。
その中から呼ぶようなことが出来る男ではない、僕は。
いくらクラス委員と言えども、クラスそのものを統率出来るほどの力は僕にはないということです、はい。
「まぁ、彼女がいなくとも、話は出来るから構わないが……」
「それならいいんだけど。あっ、あとこれ。響子から」
僕は自分のものと一緒に持ってきた、李桜の弁当を渡す。
李桜がうちで住むようになってから、李桜の弁当も響子が作っている。
李桜が受け取ったところで、僕たちはコンクリートの地面に腰を下ろして、食事にありつく。
つい先日、ここで李桜と戦ったのが、まるでなかったかのように、屋上は綺麗になっている。
李桜の話では、戦闘の事後処理も《狩人》の仕事らしい。




