第一章 学校デビュー【3】
「なんですか、兄さん。捨てられた汚らしい犬のような目をして」
「汚らしいは余計だと思うよ、兄さん的に」
朝から響子さんは絶好調みたいです。
響子は調理が終わったらしく、皿に盛り付けた朝食をテーブルに運ぶ。
今日の朝食は、白米、みそ汁、焼き鮭に卵焼きと言った、ザ・和食。
「それで、汚兄さんはどうしたんですか?」
「何気なく『お』をつけてるけど、絶対それ汚いって文字だよね?」
「鋭い。さすがは私の愚兄です」
「褒めるのか貶めるのか、どっちかにしてよ」
言いながら、席に着く。
対面に響子が座って、今日は二人だけの、頂きます、を言って、食事に着く。
「さて、兄さん。今日は久しぶりの二人だけです。相談事があるのなら、カモンですよ?」
確かに言われてみれば、響子と二人きりというのは久しぶりだ。
響子が戻って来てから、いつもアリーシアがいたし、最近では李桜もいたから、二人きりになるなんてことはまずなかった。
しかし、響子に相談事と言っても、特にはない。
というか、彼女に相談したくない。
どうせ毒を吐かれて、バカにされるだけなのだから。
「人を舐めてくれやがりましたね。目、潰しますよ?」
「治るけどやめてよっ!」
箸を構えた響子に叫ぶ。
というか、さも当然のように人の心を読んでくるな、この子は。
「何年兄妹をやっていると思っているんですか。兄さんの心を読むことなど、兄さんのえっちな雑誌を見つけることほど容易いというものです」
「僕には全然君の心が読めないんだけどね、あと僕のお宝を窓から吊るしていたのはやっぱり君だったか」
「我が家で不埒な物を読むからです。だから吊るしあげてやっただけです」
「まさかブツを吊るされるとは思わないよ」
僕の心を読めるのに、あれを吊るされたときの僕の気持ちを考えることは出来なかったのだろうか。
いや、むしろ、わざとそうしたと考えるべきか、響子の性格上。
「別に兄さんが巨乳巫女好きだということはどうでもいいんですよ」
「お宝の中身をさらけ出さないで!」
「で、なにを思ってらっしゃったんですか?」
「この状況下で訊くかなっ!」
兄の性癖をさも当然のように口にするなんて、もう、兄さんやだ。




