第一章 学校デビュー【2】
そのアリーシアが、朝早くから李桜と出かけている、か。
「どこに行っているか、わかる?」
「いえ。私が起きてきたときにはすでに二人はいませんでしたから。ただ、先に出る、という置手紙があっただけです」
先に出るってことは、学校なのかな。
でも、響子が起きる前に家を出ているってことは、相当早い時間だ。
そんな時間から登校することなんてないだろうし。
だとすると、やっぱり。
「妖魔のことかな」
たどり着いた答えを、呟いてみる。
妖魔であるアリーシアと、《狩人》の李桜。
二人に接点があるとすれば、それくらいだろうし。
妖魔を殺すという目的を持つ組織《狩人》に所属する李桜は、アリーシアを殺すために、僕に接触し、結果、僕たちは意見の相違から、戦うことになった。
最終的には、アリーシアが持つ特別な事情から、保護という名の管理になって、僕たちは《狩人》の監視下、この伊浪家で生活している。
保護観察官として暮らすようになった李桜も、アリーシアのことを良く気に掛けてくれていて、仲はそれほど悪くなかったはず。
その李桜と一緒だって言うなら、心配するようなこともないだろうけど、でも、なにか用があるにせよ、黙って行く、っていうのは少しいただけないな。
僕はアリーシアの使徒だ。
アリーシアという、吸血鬼に血を吸われ、彼女が司る権能『支配』によって、人間としての生を失い、彼女に仕える不老不死の存在となった。
それが僕、吸血鬼の使徒だ。
簡単に言えば、下僕だとか、そんな存在なんだけどね。
その使徒である僕に、なにも言ってくれない、というのは少し寂しい。
この一月の間に、僕らの関係はかなり縮まったと思っていたんだけどな。
その、なんだ。
……ちゅーだってした間柄なんだし。




