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僕の愛しい吸血姫  作者: 大成ケンジ
第二幕―最強の妖魔――
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プロローグ‐最強の剣と金色の鬼‐

「お前が、『剣誓』か?」



「……」



不意に、声を掛けられ、彼は空を見た。



そこには金色の、眩いばかりの長髪を揺らした男の姿があった。



自身の通り名を呼ばれ、自然と見上げたが、どうやら知り合いではないらしい。



「貴様は誰だ」


「私か? 私の名前はアレイスター・クロウリー。通り名で言えば、『吸血鬼』といったところだよ」


空から地へと降り、男、アレイスターは答える。



名を言われても、彼に心当たりはない。



その存在自体は知っている。



金色の鬼の噂は、妖魔の中でも有名だ。



それほど強力な『権能』を持たないにも関わらず、妖魔のうちでは強者とされ、欧州を征服するのでは、とさえも噂されていたくらいなのだから。



なれば、と彼は腕を前に突き出す。



「金色の鬼。貴様の力、我に見せてもらおうか」



言って、剣を取り出そうと手を開くが、


「待ってもらおう」



とアレイスターがそれを止める。



「私はなにも、お前と戦おうというわけではないのだよ」



「であらば、いったい我に何の用があるという」



「話は簡単だ。お前を、仲間にしたいのだ」



……?


彼は、アレイスターの言葉に首を傾げた。



自分を、仲間に?



いや、それ以前に、だ。



妖魔は基本的に徒党を組むことなどない。



それぞれが己が思うままに、好き勝手に生きるのみ。



故に、アレイスターの言葉に疑問を持つ。



「なにが望みだ」



「改革だ」



「貴様と問答をするつもりはない。簡潔に答えよ」



「それもそうだな。正直、私もここでお前を怒らせたくはない」



……。



「なるほど、それが貴様の掲げる改革か」



「あぁ。私には力が必要だ。だから、お前の力がほしい」



彼は考える。



アレイスターの理想。



理解できないわけではない。



確かに『彼ら』の行動が、自身たちの存在を脅かすことに変わりはないだろう。



しかし、それは自分には関係がない。



「『彼ら』が我を滅ぼすというのであれば、我は剣を取り、戦おう。それで万が一にでも、我が敗北するようなことがあれば、我はその終わりを迎え入れよう」



なぜなら、と。



「我は強者との戦いを求める。それ以外の行為に、興味はない」



それだけを言い、アレイスターの横を通り過ぎようとしたとき。



「私は、強者だ」



その言葉に、彼の足が止まる。



「これでも、私は自らを強いと自負している。お前が言うような、強者であると思うのだがな」



「……ほう、ならば、我と剣を交えるか?」



「悪いが、断る。私は軍を率いる将。大きな戦を前にして、お前との戦いで力をむやみやたらに浪費するわけにはいかない」



「戦う意思がないのであれば、用はない」



そう言うのだが、アレイスターは再び彼の前に立つ。



「お前と戦ってやる。だがしかし、それは戦が終わってからだ」



だから、と。



「力を貸せ。私と――強者と戦いたいのであれば、私の仲間となり、私を生かすために、戦え」



「この我に、貴様の軍門に下れと言うか?」



「そうではない。ただ、一時の協力関係を結ぼうというだけだ」



ふむ、と彼は考える。



アレイスターが強者であるというのは認める。



彼との戦いを、どこか望む自分もいる。



……。



「いいだろう。貴様に、我――『剣誓』デュラハンの力を貸してやろう」










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