↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の愛しい吸血姫  作者: 大成ケンジ
第一幕―満月の夜、僕は使徒になる―
PR
54/170

第五章 吸血姫の使徒【14】

だから、言う。



「僕の主の名前は、アリーシア・クロウリー。尊厳大戦を率いた男にして、人間の女性を愛した妖魔、アレイスター・クロウリーと、人間の女性の間に生まれた……」



アリーシアを生かすための切り札になることを祈って、僕は言葉を紡ぐ。



「半妖だ」



「っ!」



李桜の目が見開かれた。



アリーシアの出生こそが、僕の切り札だった。



アリーシアは普通の妖魔じゃない。妖魔と人間の間に生まれた半妖だ。



それがどういう意味を為すのかを理解したからこそ、李桜は驚愕した。そんなことはあり得ないと思っていたから。



「なぜ、アレイスターと人間の女性が相思相愛だったと僕が知っているのか、もうわかるよね?」



李桜は答えないが、すでに答えにたどりついている。



「子供こそが、二人の愛の結晶だからだ。そして、彼女の存在こそが、人と妖魔が分かり合えるという証拠になる」



「……」



李桜の構えていた腕が、垂れ下った。



「半妖など、聞いたことがない……そんな相手を、どうこうする決まりは、《狩人》にはない……」



呟いた李桜が、僕を見た。



「その話が事実だとすれば、私は、お前にも、お前の主である吸血鬼にも手を出すことはできない」



《狩人》の役目は、存在理由は、妖魔を狩ることだから。建前とはいえ、人間を守ることを掲げているのだ。



なら、妖魔と人の間に生まれた半妖であるアリーシアは、殺す対象なのか、それとも守るべき対象なのか。



その規定は、李桜の様子を見る限り存在しない。だから手は出せないのだろう。



僕は……やった。



「は、はは……」



李桜の言葉を聞いて、脱力する。そのままコンクリートの地面に尻を落ち着かせる。



そのまま背を倒し、眼前に広がる大きな空を見た。



アリーシアはもう寝たかな。



でも、待っているって言っていたから、起きているかもしれない。そうだったら、嬉しいな。



「やったよ……アリーシア……」



空に手を伸ばして、空を掴む。



掴み取った。守り抜いた。アリーシアの、未来を。彼女の、永遠を。



その空に、李桜が映る。



「……ごめんね。いろいろと酷いことを言って。でも、僕も必死だったんだ」



「……気にしていない、とは言えない。しかし、お前が言ったことは事実だ。だから、仕方がない……」



「まぁ、組織には組織のやり方があるからね。僕としては、アリーシアに、僕の主に危害が加えられないなら、それでいいんだ」



結局はそういうことなのだ。



妖魔がどうとか、いろいろ偉そうに言ったりしたけど、実際、言いたいことはアリーシアが半妖ってことだけだ。



そこまで持っていくのにいろいろ言ったのは、ただ単に李桜の動揺を誘うためだったから。



酷い言い方をすれば、他の妖魔のことは、僕にとってはどうでもいい。一方的に狩られていようが、そんなことは僕には関係ない。



アリーシアさえ守ることが出来れば、それでいいのだから。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。