↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の愛しい吸血姫  作者: 大成ケンジ
第一幕―満月の夜、僕は使徒になる―
PR
52/170

第五章 吸血姫の使徒【12】

でも、それは本当に正しいの?



……いや、それは違う。



……一か八か、やってみるか。



上手くいくかわからない。



だけど、僕の指摘を受けた李桜の様子を見る限り、少なからず勝算はある。



突発的に思いついた方法だ。成功確率は、おそらく低い方。



だが、やる。



やってやる。



アリーシアを、守るんだ。



「ふふ……ふふふふ、はははははは!」



「な、なにがおかしい!」



衝突によりへこんでしまったフェンスから身体を起こし、背を預け、立ち上がる。



「なぁ、李桜。僕に、《狩人》の存在について講義してくれよ」



力では敵わない。僕はあまりにも無力だ。



そんな僕に出来る戦いは、言葉でしかない。



《狩人》である李桜の存在を、『否定』してやる。



「ほら、教えてくれよ」



「……《狩人》とは人々に害を為す妖魔を狩るための存在だ」



「違うだろ? お前たちは、『妖魔であれば関係なく殺す存在』だろ?」



あくまで、自分たちの存在を正当化しようとする李桜に対して、僕は高圧的に言う。



普段はこんな言い方はしないが、今は場合が場合だ。



変に下手に出ることはない。上から、事実を事実として突きつけてやればいい。



「……」



李桜に反論はない。それに関しては、もう認めるらしい。だけど、ダメージはある。表情が少し変わっている。事実を突きつけられ、苦痛に顔を歪めるような、そんな感じだ。



「妖魔の中には、お前たちが言うように、人間に害を為す妖魔もいるだろう。だけど、それがすべてってわけでもない。だけど、お前たちはどうだ? 害を為す妖魔はいる。これは絶対ではない。お前たちは妖魔に害を為す。これは絶対だ」



「っ!」



「お前たちは、人間側からの目線でしか妖魔を見ていない。受け入れられない。害を為す。危険だ。そう勝手に決め付けて。本当に害を与えていたのはどっちなんだろうな?」



「わ、我々は……」



尻つぼみに、語気が弱くなっていく李桜。



「我々は、なに? もしかして、そんなことはない、とか言うつもり? 妖魔こそが悪だとか、言うつもりなのかな?」



挑発するように言って、



「妖魔を馬鹿にするのも、大概にしろよ」



低く、重く、響き渡るように言った。



「お前たちがそんな姿勢で妖魔に接するから、妖魔は『尊厳大戦』なんてものを起こしたんじゃないのか? 普段は協力することもない妖魔が、手を組んでまで、自分たちを守るために。それを、お前たちは絶対悪だと言い張るのか?」



「し、仕方がない! 妖魔と人は分かり合えない! なら、どちらかが滅びるしかないだろう!」



「それが本音なんだな?」



「うっ!」



ようやく出た。



《狩人》とは、そういう存在なのだ。



人間を守るためだとか、妖魔は人間に害を為すだとか、そういうのはぜんぶ建前なのだ。本音はいつも見え隠れしていた。あまりにも簡単な、本音が。



ただ彼らは、妖魔という存在を許可できないだけだ。



分かり合えないから。



自分たちとは違うから。



だから、殺す。だから、滅する。だから、蹂躙する。



それを、さっきのような建前を掲げて、さも自分たちが正義であるかのように振舞う。



その名の通り、妖魔を『一方的』に狩る人間たちなのだ。



それを、李桜が言ってくれた。僕が言わずとも、自分からそう口にした。



言ってしまった李桜は、俯いた。自分たちが掲げていた大義名分を、自ら壊したのだ。壊させたのは僕だが、壊したのは李桜だ。



これで、李桜の精神に大きなダメージを与えることはできた。



だけど、まだだ。まだ、これで終わるわけにはいかない。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。