↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の愛しい吸血姫  作者: 大成ケンジ
第一幕―満月の夜、僕は使徒になる―
PR
36/170

第三章 狩人襲来、そして……【11】

「あの、さ。天川さん」



「なんだ? なんでも言ってくれ、恭平」



「きょ、恭平?」



「うむ。私たちは同胞だからな。名前で呼び合ってもおかしなことはあるまい。恭平も、私のことを李桜と呼ぶといい」



いや、あの、そんな天川さんの考えで言われても。いろいろとおかしいと思うんだけど。



でも、こんなに笑顔を見せる天川さんに対して、ダメとはとても言えない。



女性にとことん弱い僕は、天川さん、いや李桜に対して頷くことしかできなかった。



「それで恭平。なにを言いたいんだ?」



「あっ、えっとね、少し、考えさせてほしいんだ」



「考えるとは、なにをだ?」



「いろいろ、なんだ。人間に戻れるとか言われても、僕は人間であることを諦めてたし。だから、急に言われて、少し動揺してるんだ」



少し、罪悪感を覚えた。



人間であることを諦めたのも、戻れると言われて動揺したのも本当だ。



だけど、僕の心は決まっている。



僕はアリーシアを裏切らない。アリーシアの使徒であり続ける。



僕は、李桜が言う同胞ではあっても、仲間にはなれない。



悪いとは思いながらも、それでも、こうでも言わない限り、李桜は逃がしてはくれない。



そう思わせるのは、間違いなく、李桜で。



彼女はアリーシアを殺すことを前提としているのだ。



彼女は僕を解放したいから、アリーシアを殺すのではない。アリーシアを殺し、結果的に僕が解放されるだけなのだ。



アリーシアを殺すということが根本的な部分として存在する限り、僕に出来ることは、どうにかしてアリーシアを生かすことだ。



李桜がどんな『妖魔殺し』を持っているのかはわからない。だけど、『否定』の力で弱っているアリーシアと戦わせるわけにはいかない。



「ふむ、そうだな。急に言われては、動揺しても仕方がないな」



「うん」



「よし、わかった。ならば、明日まで待とう。今日は、知ったことを自分の中で整理してくれ」



「ありがとう」



李桜の笑顔が痛かった。でも、アリーシアを守るためにはこうするしかなかないのだ。



「私に協力できることがあれば、なんでも言ってくれ。出来得る限り、力を貸そう」



そうは言われても、力を貸してもらうことなんて……。



いや、待てよ。もしかしたら……。



「ねえ、少し訊きたいことがあるんだけど、いいかな?」



「なんでも訊いてくれ」



これは、少し危険な質問になる。



だけどもし、ここで李桜から回答を得ることが出来れば、それはアリーシアの願いに近づく結果を齎すことになるかもしれない。



なら、少しばかりの危険を冒してでも、僕は質問をしなければならない。



「アレイスター・クロウリーって名前の吸血鬼を知らないか?」



「知ってはいるが……なぜそんなことを?」



「えっと、僕の主が、アレイスターに用があるらしくて、それで少し気になってたんだ。どんな妖魔なのかなって」



「ふむ。確かに、奴に用があるという妖魔は多いだろうな……」



「それは、どういう意味なんだ?」



知らないのか? と李桜は言う。



僕は李桜のその言葉がなにを意味するのかが理解できなくて、首を傾げるしかない。



「しかし、恭平の主がアレイスターに会うことは叶わないぞ」



「どうして?」



そして知る。



これは、悲しい結末だ。



「アレイスター・クロウリーは、すでに死んでいる」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。