↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の愛しい吸血姫  作者: 大成ケンジ
第一幕―満月の夜、僕は使徒になる―
PR
18/170

第一章 満月の夜、僕は使徒になる。【17】

「もしかして寂しい? なら、僕と一緒に寝る?」



断られることを承知で訊ねる。



「……うん」



「だよねえ…………………………………………あれ?」



嫌だ、とか、結構だ、とか。



そういう返答を待っていた僕にとっては予想外の答えが待っていた。



思わず素っ頓狂な声をあげてしまうほど意外だったため、僕はすぐに言葉を返すことはできない。



アリーシアのような可愛い女の子と一夜を同じベッドで過ごすことができるというのはとてもというかかなり嬉しいんだけどそれでも僕も境界線というのはわきまえているし今のアリーシアに欲情するのはロリコン認定を受けてしまうのではと思ってしまうのだけどそれでも彼女が魅力的なことには変わりはないしできれば一緒にベッドで眠ってみたいという願望もなきにしもあらずというかもうなんだか頭が爆発しそうな――



ふいに、アリーシアが僕の腕を引っ張った。



それで僕は正気に戻る。



身長差があるからだけど、見上げる形になったアリーシアの瞳に僕が映る。



「寝ないの?」



「寝ます」



欲望には逆らえない男の子でごめんなさい。



両親の寝室から僕の部屋へと移動して、僕たちはベッドに入った。



あまり大きなベッドじゃないからか、少し窮屈に感じるが、アリーシアの身体が小さいぶん、まだマシだ。



僕がベッドの奥に入り、アリーシアはその横。



もし僕が野獣のようになったときにアリーシアがすぐに逃げられるようにと考えてのことだが、自分でそういうことを考えなければならないというのは、少し情けなく感じてしまう。



アリーシアに背を向ける形で、僕は目を閉じた。



心臓の鼓動が妙にうるさくて、なかなか寝付けない。



いろいろなことが起きて、いろいろなことを知って、いろいろ状況が変わってしまったから、それらを一度整理するためにも、睡眠は欠かせない。


無理にでも睡眠をとらないと。



脳の中を真っ白にする。



なにも考えない。



無。



なにもない。



空白を生みだす。



余計な思考に睡眠を妨げられないように。



そうしてやってくる。



眠りの時が。



案外、僕は図太いんだな……こんな状況でも、ちゃんと眠ることが……。



「……………………………………………………………………ん?」



意識が、どうしてか戻ってきた。



なにかが、寝ちゃいけないと、そう訴えかけていた。



それがなにかはわからないけど、少し違和感がある。


背中の辺りの服が引っ張られている。



それは間違いなくアリーシアの手で。



「アリーシア……?」



泣いている。



アリーシアが、泣いている。



僕の声には反応しない。



だから、眠っているのかもしれない。



でも、確かに泣いている。



僕の意識が戻ったのは、そういうことなのか。



主であるアリーシアが泣いているのを放っておくことは許されないという使徒の自覚。



そういうものが本当にあるのかはわからない。



でも、今はそう思っておこう。



僕は反転して、アリーシアに向き直り、彼女の小さな身体を胸に抱きとめた。



あまりにも小さな身体。



普通の人間じゃないかもしれない。



でも、今この時だけは、アリーシアは普通の女の子に相違なかった。



髪を結うために使っていたゴムは外したようで、長い髪はまっすぐと彼女の腰辺りまであった。



それを撫でるのと同時に、背中も撫でてあげる。



「大丈夫。僕はここにいるから。僕が、いるから」



その言葉で、アリーシアが安らかに眠ってくれることを願いながら、僕は目を閉じた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。