第一章 満月の夜、僕は使徒になる。【16】
表示された検索結果をいくつか覗いて見てみるけど、やっぱりというかなんというか、アリーシアのお父さんがいる場所に繋がりそうなものはない。
次に『白い薔薇』で調べてみる。
……こちらも、あまりこれといった情報は得られない。
ふと、薔薇の花言葉が目に入って見てみたけど、関係があるようには思えない内容だった。
僕的には結構興味深い内容だったけど。
特に花言葉の辺りが。これは後々女性に送るときに使えそうな知識だ。
ネットで探す、という方法は失敗に終わってしまった。
「うーん、もっと手掛かりがあればいいんだけどね」
「残念だけど、白い薔薇以上に手掛かりらしい手掛かりはない」
そっか、と僕。
すぐにでも見つけてあげたいとは思うけど、あまり焦る必要もない、と思う。
「吸血鬼ってことは、アリーシアと同じく寿命がないんだよね? ということは気長に探したらいいんじゃないかな?」
僕の言葉に、アリーシアは少し顔を暗くして。
「……もう、時間が……」
「え? なんて言ったの?」
か細い、虫の羽の音みたいに小さな声で、アリーシアがなにかを呟いた。
その声は僕には届かなかった。
だから、訊き返したんだけど、アリーシアはなんでもない、と首を左右に振るだけだった。
パソコンをシャットダウンして、時計を見る。
すでに時計の針は十二時に差し掛かろうとしている。そんなに経ってたんだ。
気づかないうちに遅い時間になってしまった。
「ねえ、アリーシア。今日はもう寝ることにしない? アリーシアも疲れてるでしょ?」
「……うん」
浮かない顔のアリーシア。
お父さんの居場所の手掛かりが見つからなかったことに落ち込んでいるのかもしれない。
でも、今僕にできることはない。
見つかるよ、なんて確証もないことを言うわけにもいかないし、これ以上なにかを言うのは止めよう。
今日はもう休ませてあげる。それが一番いいことのはずだ。
空いているのは妹の部屋と両親の寝室か。
妹の部屋は、ダメだな。使うには一番いいんだろうけど、勘がいいあの子のことだ。
だれかが勝手に入ったなら、そのことに気づく可能性がある。
そうなった際に罵声を浴びせられるのは僕だ。
変態の次はどんな言葉で蔑まれるか、わかったもんじゃない。
ならやっぱり、両親の寝室がいいだろう。
掃除も週に一度のペースでしているし、掛け布団は押し入れにあるものを使えばいい。
アリーシアを居間に待たせて、僕は両親の寝室へと向かう。
お互いに個別の部屋を持っているため、寝室には最低限の荷物と大きなダブルベッドがひとつ。
押し入れから掛け布団を取り出して、それをベッドに敷く。
よし、これで問題はないはず。
居間に戻り、アリーシアを連れだって、再び両親の寝室へ。
「ここを使ってくれて構わないから」
「……わかった」
やっぱり、まだ浮かない顔をしているなぁ。
しかし、僕にどうにかできることでもない。
少し、冗談でも言ってみようか。




