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僕の愛しい吸血姫  作者: 大成ケンジ
第一幕―満月の夜、僕は使徒になる―
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第一章 満月の夜、僕は使徒になる。【10】

次々と入ってくる情報をなんとか頭の中で整理する。



この世には妖魔と呼ばれる存在がいて、アリーシアはその中でも吸血鬼と呼ばれる存在。



彼女は持ってきていた輸血パックを失い、魔力が不足して、路上に倒れていた。



そして、そこに通りかかった僕の血を吸った。



そしてそれが僕にとっても、アリーシアにとっても不幸なことなんだと彼女は言った。



僕は妖魔に対して優位権を得ることができる妖魔殺しと呼ばれる力の所有者で、それにはいろいろ種類があるんだけど、僕の妖魔殺しは特殊なものらしい。



頭の中でなんとかまとめて、そしてアリーシアの次の言葉に耳を澄ませる。



「あなたの妖魔殺しはおそらく、『否定』と呼ばれる力。妖魔に関するありとあらゆるものを否定する力。だけど、『否定』の力を持った人間はほとんど自分の力に気づかない」



「どうして?」



「妖魔殺しは普通、自分の意思で発動することが出来るけど、その中でも『否定』は自分の意思で発動することが出来ないものなの。だから、力が覚醒していても、妖魔と接触することがない限り、それに気づくことはない」



そこまで聞いて、ひとつの結論に至る。



「ということは、まさか、アリーシアは僕の妖魔殺し、『否定』の力を受けて……?」



アリーシアは頷いて、肯定を示した。



「あなたの血を吸った結果、わたしはあなたの『否定』の力を受けた。その結果が、これ」



自分の身体を示すように、アリーシアは両腕を大きく広げた。



「あなたの『否定』の力は弱いんだと思う。だからわたしを殺すまでには至らなかった。その代わり、わたしを弱体化させ、身体を幼くするという結果に至ったんだと思う」



それがわたしの不幸、とアリーシアは言う。



僕の血を吸ったから、アリーシアは僕の力で幼くなってしまった。



そこに僕の意思はないし、血を吸ったのはアリーシアなのだけど、どうにも罪悪感が沸いてしまう。



咄嗟に謝ろうとして、気づく。



アリーシアの不幸は、僕の血を吸って、弱体化したこと。



だったら、僕の不幸はいったいなんなんだ?




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