3 壊れた運命の残響
最後に彼女を見てから、何日も経っていた。
ピザ屋で彼女に出くわすこと――ピザを一切れ盗んでいたり、ただ隅に座って虚ろな目をしていたり――それはもう、彼の日常の一部になっていた。
だが今日は、その不在の静けさが、街のどんな騒音よりも大きく叫んでいた。
キアロコは眉をひそめ、落ち着かない足取りでピザ屋に入った。トレイを拭いている店主のいるカウンターへ、まっすぐ向かう。
「あの子を見たか」
前置きはなかった。
「……ピザを食いに来てた、あの子だ。もう何日も経つ」
店主が顔を上げる。怪訝そうな顔だった。
「てっきりあんたと一緒かと思ってたぜ」
肩をすくめる。
「あんたが三十食分を前払いしてから、一度も見てねえ」
キアロコの心臓が締めつけられた。
何も言わずに店を出る。頭の中がぐるぐると回っていた。通りを渡り、目だけで人に問いかけながら歩く。
危険な区域を歩いた。錆と貧しさの匂いがする路地。浮浪者に尋ねた。屋根の上を確かめた。木々のあいだを覗いた。
何もない。地面に飲み込まれたかのように。
(この街は……誰もいない奴に容赦しない)
その考えに、彼は角で足を止めた。
陽がゆっくりと落ちていく。影が伸びはじめていた。
そのときだった。
胸に走る鋭い痛み。背筋を這う悪寒。
まわりの影が動いた。まるで――呼んでいるように。
「なんだ……?」
考えるより先に、彼はそれを追った。導かれるままに。
説明のつかない何かへ、影とのつながりが自分を連れていく。それは初めてのことではなかった。
問わずに歩いた。大通りを渡り、建物を回り込み――そして、より強い感覚が彼を止めた。
病院の前だった。
足が速まる。内側の何かが彼を押していた。
正面の扉から入る。だが、ある一室へ彼を導いたのは影のほうだった。
ガラス越しに、彼女が見えた。
少女はそこにいた。機械につながれ、意識もなく、白いシーツの中で、あまりにも小さかった。
キアロコの喉が、音を立てて塞がった。
医師が近づいてきた。
「お嬢さんのご家族か、お知り合いの方ですか」
キアロコは、かろうじて頷いた。
「怪我をした状態で運ばれてきました。病院のすぐ前に倒れているところを、どなたかが見つけてくださって。かなり衰弱していました。身分証もなく、付き添いの方もいませんでした」
医師は一度息をついてから、続けた。
「容体は予断を許しません。ただ……回復と入院にかかる費用を用意していただけない場合、これ以上の治療は続けられません。退院していただくまで、あと二日ほどです」
キアロコは目を落とした。無力感と怒りが、腹の底で煮え立っていた。
「いくらだ」
「五千ドル」
医師の声は重かった。
「最低限を賄うための額です」
キアロコはポケットに手を入れ、持っているわずかな金を取り出した。震える手で差し出す。
「これを……足りないのは分かってる。だが残りは必ず作る。あの子を見捨てないでくれ。あの子には誰もいない。だが、俺がいる」
医師は黙って彼を見つめ、それから頷いて去っていった。
キアロコはその場に残り、ガラス越しに見つめ続けた。
病院の白い光が、床に彼の影を映していた。
そしてその影は――初めて、かつてないほどの決意を帯びているように見えた。
*
キアロコは泣く男ではなかった。人生の最悪の瞬間にすら、泣いた記憶はない。
だが病院の廊下を走りながら、一筋の涙が頬を伝った。
痛みの涙ではなかった。誓いの涙だった。
「何もさせない……絶対に」
拳を握りしめ、そう呟いた。
病院の冷たい照明が、フラッシュのように流れていく。
そして頭の中で、彼女との記憶が映画のように混ざり合った。ぬいぐるみを渡した瞬間。ピザを分け合った日。二人をつないでいた沈黙。
どれも短くて、それでいて、あまりにも本物だった。
まるで、自分の娘のように。
もう、引き返せないとでもいうように。
通りへ出る。街が騒音と影と速度で彼を殴りつけた。
キアロコは数秒、立ち尽くして地面を見ていた。
五千ドルなど、まともな仕事で手に入る額ではない。残された時間では無理だ。この世界では、無理だ。
そして彼は――もう一つの世界を知っていた。
暗い通りを下っていく。金属と、火薬と、裏切りの匂いがする街路へ入り込む。
敬意ではなく危険を探している目と、視線が交わった。
彼だと気づく者もいた。値踏みする者もいた。だが、誰も止めなかった。
古い廃工場に入る。扉は錆びついていたが、開いていた。
その中に、法はなかった。
濃い煙の立ち込める部屋。垂れ下がった一つのランプ。立っている男が三人、机の向こうに座っている男が一人。
頭だ。
男の一人が笑った。
「おい坊主……ここがどこか分かってんのか」
キアロコは足を止めなかった。
「分かってなきゃ、来てない」
それだけで、沈黙が重くなった。
頭――ラフィクスと呼ばれる、肉厚な身体に死んだ目をした男が、興味深そうに片眉を上げた。
「気に入ったぜ、このガキ」
そう呟いて、カードを一枚、机に落とす。
「何がいる」
「五千だ」
キアロコに迷いはなかった。
「何をすればいい」
立っていた男たちが笑い出した。
「そんな簡単なもんだと思ってんのか?」
だがキアロコは、彼らに目もくれていなかった。視線はラフィクスと、その前にある書類に据えられていた。
誰も何にも触れない。彼も触れなかった。
「五千ってのは大金だぞ、坊主」
ラフィクスの声から、笑いが消えていた。
「だが今日は運がいい。ちょうど、こいつを探してるところでな」
一枚の写真を滑らせてくる。
「連れてきたら、その金はお前のもんだ」
キアロコは写真を取った。ちらりと見る。
疲れた顔の老人。濁った目。おそらく、またどこかの憐れな男だ。
おそらく、違う。
「手がかりは」
「情報をタダで配る商売はしてねえんだ」
一人が嘲るように言った。
「急いでる」
ラフィクスが、悪意のこもった笑みを浮かべた。
「南で見かけたって話だ。極寒地帯。年寄りだ。潰れたプラントのどこかに潜り込んでるかもしれねえ」
そして、こう続けた。
「俺の手下はあそこには入らねえ。だがお前は……お前なら入れる」
キアロコはそれ以上何も言わなかった。写真をしまう。
「住所は裏に書いてある」
ラフィクスが付け加える。
「捕まえたら、そこへ連れてこい。金はお前のもんだ」
キアロコは踵を返した。扉へ歩く。
誰も止めなかった。誰も、止められなかった。
彼の影だけが、数秒のあいだそこに残っていた。濃く、強く。
彼は交渉しに来たのではない。
彼女を救いに来たのだ。




