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第十六話 緩慢曲線
その日、明里は車を運転していた。
そして、何の前触れもなく、霧に包まれた。
霧が晴れると、そこは見覚えのない海岸線。
緩やかなカーブが、どこまでも続いている。
そのカーブを、進んでいく。
そして、数時間が経過した頃、いつまでも続く平坦な道のりに、明里は眠気に襲われてしまった。
ハンドルから手が離れ、眠りに落ちる。
しかし、不思議なことに、車はそのまま走り続けた。
ハンドルが自動で動き、緩やかなカーブの道を走り続けた。
不思議だろうか?
いや、ここは異界。車が意思を持つ事もあるだろう。
長年大事に乗ってきた車なら、なおさらだ。
そう、不思議はない。
終わりのない道を、ただひたすら進む。
そうやって走っている内に、前方から濃い霧がやってきた。
あっという間に、車ごと霧に包まれる。
霧が晴れた時、車は止まっていた。
後ろの車からのクラクションで意識を取り戻した明里は、今自分がいる場所を確認しながら、ゆっくり車を発進させた。
家からさほど遠くない場所というのが、すぐにわかった。
明里は、家路の途中にあるガソリンスタンドでガソリンを満タンにしてから、家に帰った。
今日の出来事は、これでおしまい。
果たして、『次』は、どこに行くのだろうか。
それは、今はまだ、わからない。




