第十五話 ○○部屋
霧を抜けると、そこは部屋だった。
何の変哲もない。天井があり、四方が壁で一方にドアがあり、床がある。八畳間ほどの部屋。
普通と違うところがあるとすれば、それはドアの上に大きく書かれた文字だろう。
『〇〇しないと出られない部屋』
そこには大きく、そう書かれていた。
部屋には今、明里だけ。他に人はいない。
「こういうのは誰かと一緒になるもんじゃねえのかよ」
一人でどうしろってんだ。と明里は悪態をつく。
「あと、伏字の部分は部屋の中にいる人間には読めるようになってないとおかしいだろ」
一通りのツッコミを済ます明里。
もしかしたらドアが施錠されてないのでは? と思って開けようと試みたが、無駄だった。
そして、部屋には静寂が訪れる。
〇〇の意味することを探るため、明里は思いつく限りの行動を取ってみるが、何の変化もない。
「〇〇、丸々ねえ」
そこに何の意味が隠されているのか。
考えれば考えるほど、わからない。
思考の迷宮にハマって抜け出せない。
考え抜いた末に、明里は一つの行動に出た。
手の指で丸を二つ作り、自分の目に当てる。
「メガネ~」
考え抜いた末の、これが結果である。
〇〇は、伏字ではなく丸を意味していた、という解釈。
さすがにこれはなあ、と明里が手を下げた瞬間、ドアが勢いよく開き、霧が入り込み部屋を満たした。
気がつけば、明里は霧に包まれて異界入りした場所のすぐ近くに立っていた。
「ーーーっ」
解に対して言いたいことも、それを実行してしまった自分にも、言いたいことが山ほどあるが、山ほどあるがゆえに、言葉にはならなかった。
明里は、悪態をつく代わりに一回舌打ちをして、家に帰った。
今日の出来事は、これでおしまい。
果たして、『次』は、どこに行くのだろうか。
それは、今はまだ、わからない。




