渦巻くモノ
その夜、実希の頭の中には、泰生の言葉が渦巻いていた。
「何なんだろう、本当に」
理解不能に陥った実希は、枕に顔を埋める。
何で急に真剣な振り?
意味が分からない。
それでも、メールを送る気にはならなかった。
――翌日から泰生は、本当に来なくなった。
もう三日目だ。
辞めたのか、サボりか。
そんなことを考えていると、以前泰生が一緒にご飯を食べていたマダム達が騒いでいる。
「泰生君、何で来ないの?」
「病気? 辞めたの?」
「何かあったんじゃないの?」
「社員さん、何かしたんでしょ」
口々に社員に詰め寄るマダム達。
「僕何もしてませんって」
「でも何か知ってるでしょう」
「何もないですって」
そのやり取りを繰り返す、マダム達と社員。
そのまま業務が始まり、散り散りになって行くマダム達。
そして、その社員が実希のところへ来た。
「お疲れ様です」
「あっ、お疲れ様です」
「実希さん、そろそろ入社して三ヶ月経つので面談いいですか?」
「はい」
実希は社員と共に、パーテーションで区切られた面談スペースに移動した。
入社から三ヶ月近くで、既に同期の何人かが辞めているという話から始まった。
「実希さんは、大丈夫ですか?」
「はい」
「それならいいんですが……皆辞めて行くじゃないですか。しかも泰生さんまで辞める……」
ここまでハッキリ言いかけて、社員が慌てる。
「あ! やばい、今の内緒ですよ。皆には。聞かなかったことにしてください」
「あぁ、はい。分かりました」
面談を終え、業務に戻る。
だが、ふとしたときに、“あいつ辞めるんだ”と考えてしまう実希だった――




