↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
春の灯―ハルノヒ―  作者: 絲瀬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/41

固まる空気

泰生たちが乗る電車の到着時間に合わせて、実希と梨紗は駅へ向かった。



テンションが上がってウキウキの梨紗に対し、実希はというと、少し不安が残っていた。


“泰生が何かやらかさないか”ということ。


付き合ってから段違いに優しくなったものの、時折付き合う前の様に、イラッとさせられたり、自分勝手な振る舞いをすることはある。


せめて、梨紗の前でそれが出ませんように……。



しかし、実希の願いは届かなかった。



待ち合わせて、四人が顔を合わせた瞬間、泰生が梨紗を見て言い放った。



「梨紗ちゃんちっちゃいねー。小さすぎるでしょ! 動物みたいだね」


ノンデリカシーの極みだ。


実希は泰生を睨み、すぐさま梨紗に謝る。



「梨紗ごめん、本当にごめん」

「いいよ、よく言われるし」


梨紗はそう言うが、何も関係性がない状態の初対面の人間に、会ってすぐさま言われるのは気分が悪いだろう。



「ちょっと泰生っ……」


実希が泰生の方に振り向いて、声を掛ける。

しかし、そこには泰生を注意する康介の姿があった。



「泰生、それ女の子にしかも初対面の子に言うべき事じゃねーだろ」

「ちっちゃかったからつい」

「お前、俺らだから許されてきたけど、不快になる人が大多数だぞ。梨紗ちゃんと実希ちゃんに謝れよ」

「確かに、いつもの悪ノリ過ぎたかもしれん」



実希は、驚いた。

ちゃんと叱ってくれる友人は、この人の周りにちゃんといたんだ。



康介に叱られ、泰生は梨紗と実希の方を向いた。


「梨紗ちゃん、実希ちゃん、すみませんでした」


「いいですよ! 謝ってくれたし。でも……次言ったら私実希と帰ります」


梨紗はニコッと笑って返した。


実希は一言、「私の友達にまで失礼なこと言うなんてほんっとに最低」と泰生にだけ聞こえる声で放った。


そして康介まで、梨紗と実希の方を向いて謝りだした。



「昔からこいつこんなんで……二人とも嫌な思いさせて本当にごめんね。せっかく来てくれたのに」


何の責任もないのに申し訳なさそうに謝る康介。



「もうやめましょ? せっかく集まったんだし楽しみません?」



場の空気を和ますように梨紗が言った。


それに続いて、康介も「じゃあ、行こうか」と声を掛けた。


そのまま自然に、梨紗と康介、実希と泰生が並んで歩いた。



小さな声で「ごめん」と謝る泰生。

実希は、「次やったら知らないから。二度とすんな」と小声で返した。


後ろの二人が沈黙しながら歩く中、前の二人は初対面とは思えないくらい話が弾んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。