泰生からのお願い
元彼の件が解決し、実希と泰生は幸せな日々を送っていた。
毎日連絡を取り合うわけではない。
それでも、たまに他愛もないやり取りをちょこちょこ挟んでいた。
それがお互いにとって、心地の良いペースになっていた。
小さな言い争いも出始めたが、それでも大きな喧嘩に繋がることはなかった。
順調に交際を重ね、三ヶ月が経った頃。
珍しく、泰生からの着信が入った。
「もしもし? 実希ちゃん今大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
「ちょっとお願いがあってさ」
泰生から、『お願い』という言葉を聞くのは、久しぶりな気もする。
「何? 何があったの」
「なんもない」
「へ?」
「いや、さ、実希ちゃんの友達で、今フリーな子、いない?」
突然前置きもなく投げかけられた言葉に、実希はキョトンとする。
そういうところは、付き合う前の泰生が残っているのかもしれない。
「え? なんで?」
「あ、ごめん。あのさ、俺の親友が彼女欲しがってて……その、俺が彼女いるって話したら、セッティングしてくれってなってさ……」
突然言われても思い浮かばない実希。
「うーん。私あんまり紹介とか好きじゃないんだけどなぁ……」
「そこをなんとかならない?」
実希は少し考えた。
「フリーな子はいるけど、彼氏募集中じゃないと意味ないでしょ?」
「それはそう」
「親友さんの年齢は?」
「俺とタメ」
「聞いてみて、また連絡するよ」
「お願い」
そう言って電話は切れた。
実希は、随分急なお願いで勝手だなと感じたものの、泰生の顔を立てようと重たい腰をあげた。




