共通点
気付けば泰生とランチを食べるようになって、二ヶ月くらいが経った頃。
「ねぇ、連絡先教えてよ」
食事中に、いきなり切り出した泰生。
「何で?」
「知りたいから」
「別に私は知らなくていいかも」
「でも俺は知りたいかも」
また押し問答になりそうだ。
「イタズラやめてよね?」
「しません」
「まあ、それなら」
実希はそう言って、メッセージアプリのIDを交換しようとする。
「いや、俺それやってないんだよね」
まさかの発言に驚く実希。
またいつもの冗談かと思い、「ハイハイ、じゃあ交換出来ないね」とスマホを片付けようとする。
「待って実希ちゃん、ガチなんだって」
そう言って泰生が取り出したのは、スマホではなくガラケーだった。
「今時? いるの? 若い人で?」
目が点になる実希にお構いなしで、自分のアドレス画面を差し出す泰生。
「俺のアドレス短いから、ごめんだけど入力してくれる?」
「わかった」
渋々受け取り、自分のメール画面に入力していく実希。
そこで実希は、あることに気付く。
(この文字……もしかして……)
「ねぇ、このアドレスってもしかしてアーティスト?」
「そうだよ、よく分かったね」
泰生のアドレスは、アーティストの名前を少しもじったものになっていた。
「……私も好きだから」
泰生と初めて共通点を見つけた瞬間だった。




