未来の自分
「そろそろデート行く?」
泰生はそれまでの空気を一瞬にして変えた。
「うん、行きたい。どこ行くの?」
実希もそれに乗っかって答える。
「内緒だって」
少年の様に無邪気に笑う泰生。
行き先が秘められているのも、ワクワクする。
今までとは違う顔をフル回転で見せてくる泰生に戸惑う気持ちもあったが、実希も素直に楽しんでいた。
車を走らせて一時間ほど。
着いたのは郊外の大きいアウトレットモールだった。
実希が行きたかった場所の一つだ。
でも、実希は泰生に話した覚えがなかった。
「ねぇ、私ここ来てみたかったの」
「知ってるよ」
何故、泰生が知っているんだろう。
疑問に思って黙る実希。
泰生はその様子を見て、また無邪気に笑った。
「実希ちゃん、だいぶ前に行きたいって言ってたの覚えてないの?」
「いつ?」
「んー。やっと実希ちゃんが、普通に話しだしてくれた頃かな」
そう言われると、何となく言った様な気もする。
『お酒が好き』と言ったことも、馬刺しも、アウトレットモールも、何も気にせず言った事を、泰生はしっかり覚えてくれている。
「嬉しい」
心の声が、しっかり口に出ていた。
付き合った翌日、それも数時間で、好きになる理由が積み上げられて行く。
その時実希は思った。
きっと、私はこの人の事をめちゃくちゃ好きになる。
今はまだほんのり芽生えた感情だが、そう時間は掛からず、愛し始めるのだろう――




