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春の灯―ハルノヒ―  作者: 絲瀬


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泰生なりの優しさ

ドライブスルーに着いて注文をしたあと、泰生はある行動に出た。


車を出してくれたから、カフェ代は払おうと決めていた実希を止める。


「実希ちゃん、財布しまいなさい」

「えっ」

「いいから、しまいな」

「でも、ご飯行った時もカラオケも全部出してくれてるじゃん」


なかなか引かない実希の財布を取り、後部座席にそっと置いた。


「実希ちゃんお財布なくなりました」


突然のことで、実希の頭は『は?』が浮かんでいる。


その隙に泰生は会計を済ませてしまったのだ。


「何で……」


そう聞く実希をよそに、泰生は商品を受け取り車を走らせる。

そして、何食わぬ顔で話しだした。


「実希ちゃん、俺実希ちゃんの何個上だと思ってんの」

「9です」

「はい。そうです」

「だからって……」

「9個も下の女の子に出させるほど甲斐性なしじゃねぇよ」


実希の言葉を遮って、泰生が笑いながら言った。



「うー……ありがとう」

「ありがとうでいいんだよ、うー、要らない」


腑に落ちない実希だったが、甘えることにした。


「……ありがとう、いただきます」


泰生はにっこりしながら、無言で車を走らせた。


そして、あっという間に車は公園の駐車場に着いた。

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