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春の灯―ハルノヒ―  作者: 絲瀬


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いつもと違う顔

泰生とは、翌日会うことになった。


展開が早い……そう思いながらも、付き合うことを了承したのだから、文句は言えない。



ただ、実希には一つ、泰生にどうしても伝えなければいけないことがあった。

条件付きとはいえ、付き合うなら隠してはおけない。


電話を切った後、告げ忘れたことに頭を抱える。


明日、ちゃんと言わないと。


そう決意し、寝る準備を始める実希。

すると、泰生からメールが届いた。


『実希ちゃん、ありがとう。大好きです。おやすみ』


調子いいやつ。

そう思いながら、『おやすみ』とだけ返した実希だが、その顔には少し笑みが溢れていた。



翌日、泰生は車で実希の家まで迎えに来た。


「おはよう実希ちゃん」


妙に大人っぽく見える……そう思ったが泰生は実希より九歳上。

車を持っていてもおかしくない。


一方、実希たちは二十一歳。まして都会に住んでいるから、周りに車を所有していない人なんてザラにいた。


だから、車で迎えに来るという行動が、実希にとってはすごく新鮮だったのだ。


車に乗り、助手席から運転席の泰生をチラッと見る。


いつもと違う雰囲気に一瞬ドキッとしたが、単なる車マジックだろう。



だが実希はすぐに、“話さなければいけないこと”をどう切り出そうか考えていた。

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