掘り起こされるモノ
泰生から再度電話が掛かってきた。
出ることを躊躇ったが、おそらく出るまで掛けてくる。
それなら、出た方が話は早い。
「……もしもし?」
「実希ちゃん!? 俺!」
相変わらずの軽いノリに、うんざりする実希。
「何?」
冷たく言い返すと、泰生は何も喋らない。
こんなことなら出なければ良かった。
「用がないなら切るよ」
「……俺さ、一ヶ月連絡しなかったじゃん」
「うん」
「山……行ってて」
意味が分からなかった。
またふざけてる、そう感じてイラッとしていた。
「は? 意味が分からない」
「うん、ごもっともだと思う」
「それで、何なの?」
「……俺、人付き合いとかに疲れると、山で一人キャンプするんだよ」
説明されてもやっぱり意味が分からなかった。
泰生の冗談なのか本気なのかも、実希には汲み取れない。
「そんな人、いる?」
「いるんだよ、ここに」
『いい加減にして』そう言おうとしたとき、泰生が話を続けた。
「実希ちゃんに告白して、でも思った様には進まなくて。告白した次の日にはもう山にいた」
「まじで意味が分からない。ふざけたいなら切るから」
「何で実希ちゃんそんなに怒ってるの?」
泰生に投げかけられた質問は、実希を黙らせた。
何で怒っているんだろう。
向き合おうとしたときに連絡が途絶えたから?
告白してきた直後に振り回されたから?
それとも……
自分が傷つかない様に、気持ちに蓋をしたのにまたこじ開けられたから?
きっと、『なぜ怒っているか』と聞かれると、答えは全部正解なんだと思った。
実希は、一ヶ月前に伝えようとしたことを、話しだした。




