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春の灯―ハルノヒ―  作者: 絲瀬


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嵐の前の静けさ

連絡が途絶え、一ヵ月以上が過ぎていた。


その頃には、実希の頭の中で泰生の存在はほぼ消えていた。

連絡が途絶えてから少し時間が経った後、泰生の連絡先も削除し、実希の中ではもう区切りがついていた。

そして、泰生について考えることもなくなり、一ヵ月前に感じた胸の痛みも、いつの間にか消えていた。


だが、そんな実希の元に、ある日突然連絡が入る。


知らない番号からの着信が、何度も何度も残される。


「誰これ」


番号をネットで検索してみるが、何も情報は出てこなかった。

何か用がある人なら、留守番電話に残すだろう。そう思ったが、一向に鳴り止まない。 

ここまで来ると、恐怖が勝つ。

不在着信が十件くらいになったところで、やっと着信が途切れた。



(本当に誰なの……?)



もう得体の知れない番号から、掛かってこないことを願っていた。


すると、次は一通のメールが届く。

やはり登録していないアドレス。

だが、今度は登録していなくても分かった。


泰生だ。


『実希ちゃん、ごめん。電話に出て欲しい』


あの異常な着信は、全て泰生だったのか。

正体が分かって安堵すると同時に、“今更”なんなのだろうという不信感も湧いていた。

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