20/41
嵐の前の静けさ
連絡が途絶え、一ヵ月以上が過ぎていた。
その頃には、実希の頭の中で泰生の存在はほぼ消えていた。
連絡が途絶えてから少し時間が経った後、泰生の連絡先も削除し、実希の中ではもう区切りがついていた。
そして、泰生について考えることもなくなり、一ヵ月前に感じた胸の痛みも、いつの間にか消えていた。
だが、そんな実希の元に、ある日突然連絡が入る。
知らない番号からの着信が、何度も何度も残される。
「誰これ」
番号をネットで検索してみるが、何も情報は出てこなかった。
何か用がある人なら、留守番電話に残すだろう。そう思ったが、一向に鳴り止まない。
ここまで来ると、恐怖が勝つ。
不在着信が十件くらいになったところで、やっと着信が途切れた。
(本当に誰なの……?)
もう得体の知れない番号から、掛かってこないことを願っていた。
すると、次は一通のメールが届く。
やはり登録していないアドレス。
だが、今度は登録していなくても分かった。
泰生だ。
『実希ちゃん、ごめん。電話に出て欲しい』
あの異常な着信は、全て泰生だったのか。
正体が分かって安堵すると同時に、“今更”なんなのだろうという不信感も湧いていた。




