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オマケ召喚されたモブですが、公爵令息に外堀埋められてました  作者: あらいサラ


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31.トウコ①

――私があの時、鍵を落とさなければ、莉子はこの世界に巻き込まれなかったのだろうか…。


「…あの、鍵、落としましたよ」


コンビニで声を掛けられて振り返ると、そこには野暮ったい格好をした少女がいた。高校生か大学生くらいだろうか。


(もっとオシャレすれば良いのに…。まぁ学生なんてこんなものか。

 (あの子)もよくダサTシャツとか、意味わかんない服着てたなぁ)


今度実家に帰った時には、服でも買いに連れて行ってやろうかしら、なんて懐かしく思いながら、目の前の少女にお礼を言いながら鍵を受け取る……いや、受け取ろうとした。


その時、僅かに手が触れていたからなのか、そのまま私達2人は謎の光に包まれて、この世界に落とされたのだった――


少女は、莉子は、自己主張の少ない子だった。まだ子供だから状況についていけて無いだけかもしれない。

でも、巻き込まれただけの被害者なのに、まるで自分には価値が無いのだと言わんばかりの表情が、どうしてもほっておけなかった。


莉子の預け先になったユリウスとかいう優男は、悪い人間では無いとは思うけど、どうにも信用ならない。


よく言えば距離感を弁えた、悪く言えば他者との間に壁を作り、そこから一歩引いた冷たい人間に見えた。


ただ、そいつのおかげで莉子は少しずつ明るくなっていったし、そいつ自身も莉子に絆され、とても大切に扱っている事は理解できた。


(まぁ、莉子も惹かれているようだし?多少の独占欲は目を瞑るけど?)


――だから、このまま、莉子にもこの世界で幸せになってほしいと。

……そう思っていただけなのに。


「リコ…?リコ??」


森で助け出された莉子が、ユリウスの腕の中で気を失った時は、何か大きな怪我でもしていたのかと血の気が引いた。


後になって、ただ緊張が解けただけだろうと聞いてホッとしたが、それでも眠る莉子の体に巻かれた包帯に、胸が締め付けられるように苦しくなる。


ただの森でも置き去りにされたら恐怖でしかないのに、莉子は魔素の漂う薄気味悪い森でさまよい、あげく蛇の魔物に襲われそうになっていたのだ。


(安全な場所で、幸せに暮らして欲しかったのに…ッ!!!)


許せない。自分勝手な理由で莉子を危険に晒したあの女を、私は絶対に許さない…!



(あの女が元凶…)


テオが主体となり罪状を読み上げていくが、女に罪の意識は全くないのか、訳がわからないといった様子でユリウスに助けを求めるばかりだ。


その目に浮かぶのは狂気じみた恋心。

白馬に乗った王子様(ユリウス)が、こんな茶番から助け出してくれると信じ切っているのだろう。


曰く、ユリウスが処分に困っていたゴミを、代わりに片付けただけだ、悪い事など何もしていない、と。


喋る許可が降りていない宰相が額に汗を浮かべながら、唇を強く噛み締めているのが見えた。


(可愛いお嬢さんをさぞ甘やかして育てたのでしょうけど、……教育を間違えたわね)


続いてユリウスからの証言、国から預かっている客人が攫われた、その際に公爵家の使用人が害された、という発言に、初めて女は顔色を変えた。


「――これは、我が家に対する明確な敵対行為と受け取ります」


「そんな…誤解ですわ!いずれわたくしの身内となるのですもの、公爵家の方を傷つけるつもりはなかったのです。あいつらが勝手にした事ですわ」


この女に罪の意識がこれっぽっちも無かった事が災いして、命じられた下っ端達も、公爵家の関係者を誘拐という大それた事をしてしまったのだろう。

隠す気も無かったようで、王都を出る際も侯爵家の名前を出していたそうだ。


「それにユリウス様も、汚らしい平民を押し付けられて迷惑してましたでしょう?わたくしは憂いを晴らすお手伝いをしただけです」


汚らしい平民、ねぇ。

この後に及んで、まだ状況判断が出来てないのかしら。

 

「オートセーブを信じるな」とか「顔面優勝」とか書いてある謎Tシャツをよく着てた透子妹。

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