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オマケ召喚されたモブですが、公爵令息に外堀埋められてました  作者: あらいサラ


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23.ユリウス④

自身の独占欲に気づいてから、僕は社交界に自ら噂の元を流した。

はっきりとは公言しない。でも人の耳と口を伝って静かに、ゆっくりと『アシュフォード公爵子息は、恋人を囲って愛でている』という噂に育つように、慎重に情報を制限して。


「な、何でそんな事を…?」


本当に意味が分からないと混乱する瞳に、反対に問いかける。


「どうしてだと思う?」


君に幸せになってほしい。好きな人と結ばれてほしい。

けれど選択肢を奪うように、外堀を埋めてしまっている。


(…嫌われてはいない。人間として好かれている。僕の容姿も好ましく思ってくれている。自惚れでなければ、異性として意識もしてくれている。

 でもそれだけじゃ足りなくて……もっと欲しい。リコの想いの全部が欲しい)


「えーと……な、なんででしょうね……ははは…」


多少は伝わっているのだろう、真っ赤な顔をしてわざとらしく惚けるリコが愛しくて。憎たらしくて。


今すぐその唇に噛みつくようにキスをしたい欲求を綺麗に隠しながら、いつものように微笑んだ。


(逃がしたくない)


人はそれを執着と呼ぶのだろう。


◇◇◇


「ユリウス殿、本日は貴重な時間を頂き感謝します」


「お招き頂きありがとうございます。ユリウス様にお会い出来て光栄ですわぁ」


「アシュフォード公爵家へようこそお越しくださいました。グリムワルド侯爵、そしてヴェロニカ嬢」


笑顔を貼り付けて、来客対応をする。


以前、侯爵から誘いの手紙があり丁重に断っていたが、対面で二度目の誘いを受け、仕方なく公爵家に招いた。

公爵家とはいえ、現宰相であるグリムワルド侯爵は邪険には扱えない。


相談したい事がある、という体ではあったが、内容は十中八九ヴェロニカ嬢の婚約破棄についてだろう。


――危惧していた通り、【協力者】の婚約者探しが解禁された途端に、婚約が解消、もしくは破棄されるトラブルが数件報告されている。


そして婚約を解消・破棄した令嬢は、協力者の4名のいづれかへ釣書を送りつけてきているのだ。


(他家は突っぱねれば良かったが、侯爵は穏やかに見えるが食えないお方だ。敵に回さない方が良い。

 …聡明な方だから、無茶な要求はしてこないとは思うが、歳を取ってから生まれた娘を溺愛していて、娘関係になると目が曇るのが面倒くさいな…)


今回も娘に言われて動いたのだろう。

おかげで、今日はリコと演劇を見に行く予定の休みだったのが、予定変更を余儀なくされた。


予約席が勿体ないというので、リコは侍女アグネスと護衛と共に劇場に向かったが、大丈夫だろうか少し不安になる。


「…それで、相談というのは、我が娘ヴェロニカの事でしてな。

 実は娘は、十年婚約していた相手と破断となりまして…。十年間酷い扱いを受けていたらしく、娘は酷く傷ついているのです」


何が酷い扱いだ。元婚約者は毒にも薬にもならない平凡な男だ。

ヴェロニカ嬢が結婚する気がなく、成婚をのらりくらりと躱していたのは有名な話だ。


「親として今度こそ幸せな結婚をと思っておるのです。娘を大切にして、誠実な方をと。

 そう思っていた折に、【協力者】の皆様の婚約者探しが解禁されたと聞き、ユリウス殿に注目したのです」


順番が逆だ。解禁されたから破棄したのだろう、と心の中で冷笑する。


「【協力者】のお役目を邪魔してはいけないと身を引いておりましたが、わたくし、昔からユリウス様をお慕いしておりましたの」


「娘もそう申しておりますし、いかがでしょうかな?

 ちょうどユリウス殿も婚約者探しをされていると聞きます。誠実で評価の高いユリウス殿ならば、私も安心して愛娘を託せる事が出来るというものです」

 

破棄・離婚した令嬢人気ナンバーワンはユリウス

次点で王弟シルヴァン

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